小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2023-01-01から1年間の記事一覧

小児へのダプトマイシンの使用

ダプトマイシンは、小児には馴染みの薄い抗菌薬です。MRSAなどのGram陽性菌の治療に使用します。MRSAの難治性菌血症などが小児では少ないこともありますが、安全性や正確な投与量に関して、記載が不十分なことも理由と思います。 今回、日本の小児患者に使用…

小児の好酸球増多を見たら…

" data-en-clipboard="true"> 好酸球は、アレルギー疾患や寄生虫疾患で上昇することが知られています。しかし、日本では小児の寄生虫を見ることは少なく、ほとんどがアレルギー疾患での上昇だと思います。 " data-en-clipboard="true"> その他の原因について…

小児の新型コロナによる劇症型脳浮腫

" data-en-clipboard="true"> 日本国内でも、新型コロナに脳症を合併して死亡する例が報告されています。まだ、まとまった報告はありませんが、台湾から6例のケースシリーズが報告されました。 " data-en-clipboard="true"> 台湾では、新型コロナで亡くなっ…

小児の肺炎において、誘発喀痰の意味は乏しい

小児の肺炎では、良い喀痰を採取することは難しいです。成人では、肺炎が疑われれば、誘発喀痰を採取します。通常3%くらいの高張食塩水をネブライザーで吸入して、咳き込んだ時に出た喀痰を採取します。うまく採取できると、喀痰中にわんさか白血球と肺炎球…

菊池病のリンパ節はどこが腫れる?

菊池病は、日本では日本では比較的多い病気です。発熱と頸部リンパ節腫脹が特徴的です。小児では、時々、不明熱の原因として認められます。以前、菊池病のまとめを書きましので、読んでいただけると幸いです。 pediatric-infection.info 菊池病は、典型的に…

ヒルシュスプルング病は尿路異常に注意

" data-en-clipboard="true"> ヒルシュスプルング病は、腸管の神経節の先天的な欠如により便秘や腸閉塞をきたす疾患です。多くは新生児期に診断されますが、軽症では診断が遅れることがあります。ヒルシュスプルング病の患者さんには、尿路異常が多いという…

カンジダ膿胸について

" data-en-clipboard="true"> 膿胸は、もともと治療が難しい病気ですが、カンジダによる膿胸は数も少なく、非常に難治性です。小児にはもちろん少ないので、成人のデータを調べてみました。台湾からのデータです。 " data-en-clipboard="true"> 膿胸の成立過…

CRP上昇・白血球数正常の小児発熱

小児科で発熱者の診察をしていると、通常、白血球とCRPは同時に採血します。細菌感染では両方上昇、ウイルス感染では両方正常というパターンが多いですが、乖離することがあります。 白血球数高値・CRP正常は、細菌感染の発症早期、ストレス(嘔吐など)など…

感染症科医にとってCRPはthe elephant in the room?!

CRPは、日本の臨床現場で頻用されているにも関わらず、感染症のスタンダードな教科書ではあまり触れられることはなく、触れても非常に軽い扱いをされてきました。(例:感度も特異度も高くない検査である。) 確かに、医療現場で過度に用いられ、CRP値のみで…

気道感染を起こすウイルスの迅速検査キットの感度・特異度のまとめ

先日、SARS-CoV-2の迅速抗原検査キットの感度と特異度をまとめました。他の病原体に関してはどうなのか気になって、調べてみました。インフルエンザや溶連菌は、メタアナリシスがありましたが、その他のウイルスは報告が少なかったです。 日本からの報告も多…

コロナの抗原検査の精度はどのくらい?

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まり、PCR検査や抗原検査という検査が一般の方々に普及してきました。今ではドラッグストアでも購入でき、自宅で検査している人も多いと思います。 なんとなく「PCR検査が正確で、抗原検査はあまり正確ではない」…

小児の壊死性筋膜炎の特徴

" data-en-clipboard="true"> 壊死性筋膜炎は、小児では極めてまれな疾患です。そのため、まとまったデータは少なく、成人の教科書の記載が、しばしばそのまま引用されています。しかし、小児には小児の特徴があり、注意するべき点がいくつかあります。 " da…

クジラを食べてトキソプラズマ?!

トキソプラズマは、Toxoplasma gondiiという原虫が原因の感染症です。日本でも5−10%の人が抗体を持っています。特に妊娠中に罹患すると、胎児が先天性トキソプラズマ症になり、重い後遺症が残ることがあります。 終宿主はネコで、ネコの便などに排泄された…

ヨーロッパでの侵襲性A群溶連菌感染症の増加

2022年より、ヨーロッパ諸国で侵襲性A群溶連菌感染症の小児例の増加が報告されています。オランダからの報告です。 日本では、今の所、増加傾向は認められませんが、今後注意が必要です。 INCREASE IN INVASIVE GROUP A STREPTOCOCCAL INFECTIONS IN CHILDRE…

医学部生の髄膜炎菌保菌率は低い

" data-en-clipboard="true"> 髄膜炎菌は、髄膜炎や敗血症を起こすことがある細菌ですが、日本で見ることは非常に少ないです。とはいえ、宮崎県の高校の寮でアウトブレイクが起きたり、日本には無縁というわけではありません。特に、軍隊や学生寮など、多く…

新生児の腸腰筋膿瘍

" data-en-clipboard="true"> 腸腰筋膿瘍は、小児にはまれな病態です。成人では椎体炎が波及して腸腰筋膿瘍を形成することがあります。新生児の腸腰筋膿瘍となるとさらに稀で、ケースシリーズもなく、症例報告が中心です。 " data-en-clipboard="true"> 日本…

コロナでも大泉門が膨隆することがある

" data-en-clipboard="true"> 乳児の新型コロナウイルス感染症で、大専門が膨隆した症例があったという報告です。CTで見ると、結構膨隆しています。 " data-en-clipboard="true"> Bulging Anterior Fontanelle Caused by Severe Acute Respiratory Syndrome …

尿から肺炎球菌?

" data-en-clipboard="true"> タイトルを見て「??」と思いましたが、なるほどです。 " data-en-clipboard="true"> 小児(だけではなく成人)の尿路感染症の多くは、大腸菌などのGram陰性菌が原因です。感染症科医としては、尿から「尿路感染症の原因になら…

コロナワクチンは小児の重症化予防に有効

韓国から5−11歳に対するファイザーワクチンの効果の報告です。 要点「重症化予防効果は非常に高い!」 ・ワクチンは感染を予防する効果は50%程度 ・重症化を予防する効果は100%(ワクチン2回接種者が一人も重症化していない) 2回接種者がかなり少なく(全…

薬剤師から見た小児抗菌薬の正しい投与量

小児の抗菌薬治療は、有効性と安全性を最適化する投与を行うことが重要です。薬剤のPK/PDの特性、起炎菌の薬剤感受性、感染部位、重症度などを考慮して、選択する必要がある。 この論文では、よく使う抗菌薬であるアモキシシリン、アモキシシリン・クラブラ…