小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

小児の新型コロナウイルス感染症の約半分は共感染あり

中国からの報告です。小児のCOVID-19の患者を対象に、他の病原体が共感染しているかを検討した報告です。約半数の症例でマイコプラズマなどの共感染が認められ、一つの病原体が検出されたからと言って、新型コロナウイルスを否定できるものではないというこ…

ペニシリンアレルギーの脱ラベルもASTの重要な活動

何年も前にカルテに書かれた「ペニシリンアレルギーあり」の記載のために、ペニシリンが使えない患者さんは、結構たくさんいます。しかし、本来はペニシリンアレルギーではなく安全に使えるのに、リスクを考慮して、使用しないことがほとんどです。しかし、…

小児の肺炎は(やっぱり)細菌性肺炎の方が多いのではないか

台湾の8つの病院(大学病院がメイン)で実施された小児の市中肺炎の原因微生物に関する研究です。以前NEJMで、ウイルス性が多いことが報告されていましたが、臨床をしていると、この台湾からの報告のほうが、納得できる気がします。 Characteristics and eti…

非溶血性のB群連鎖球菌には気をつけようう

手前味噌で恐縮です。 当施設と群馬県衛生環境研究所、国立感染症研究所の先生との共著で、非溶血性B群連鎖球菌による新生児の髄膜炎・菌血症の報告がpublishされました。 B群連鎖球菌の3%程度は溶血しないタイプの株であることがわかっており、通常、病原…

緑膿菌の薬剤耐性機構について (Mandellのまとめ)

緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa)は薬剤耐性が問題になることが多く、抗菌薬適正使用がなされている病院では抗菌薬の感受性が良好で、そうでない病院では感受性が悪い傾向があります。一方で、地道な抗菌薬適正使用の活動により、広域抗菌薬の使用が減ると、…

小児におけるダプトマイシンのエビデンスのまとめ

ダプトマイシンは、成人においては、重症MRSA感染症の重要な治療薬となり、国内のガイドラインでは菌血症の第一選択薬としてバンコマイシンと併記されています。しかし、小児において(特に乳児)は、動物実験での副作用の懸念、使用経験の少なさから、保険…

小児心臓外科手術後のICU acquired weaknessは頻度も高く背景心疾患と筋弛緩薬の長期使用がリスク

小児先天性心疾患手術後患者におけるICU-acquired weaknessの発症状況と そのリスク因子 日集中雑誌 2020; 27: 267-72. 当院のリハビリテーション課から、小児心臓手術後のICU-acquired weakness (ICU-AW)の発症状況とリスク因子をまとめた発表です。ICU-AW…

筋緊張性ジストロフィーと低ガンマグロブリン血症

IgG deficiency and expansion of CTG repeats in myotonic dystrophy Kaminsky P, et al. Clin Neurol Neurosurg. 2011; 113(6): 464-8. 目的:筋緊張性ジストロフィー(DM1)においてCTGリピート回数は、多くの遺伝子の発現を制御する。DM1患者において、多…