小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

クジラを食べてトキソプラズマ?!

トキソプラズマは、Toxoplasma gondiiという原虫が原因の感染症です。日本でも5−10%の人が抗体を持っています。特に妊娠中に罹患すると、胎児が先天性トキソプラズマ症になり、重い後遺症が残ることがあります。 終宿主はネコで、ネコの便などに排泄された…

ヨーロッパでの侵襲性A群溶連菌感染症の増加

2022年より、ヨーロッパ諸国で侵襲性A群溶連菌感染症の小児例の増加が報告されています。オランダからの報告です。 日本では、今の所、増加傾向は認められませんが、今後注意が必要です。 INCREASE IN INVASIVE GROUP A STREPTOCOCCAL INFECTIONS IN CHILDRE…

医学部生の髄膜炎菌保菌率は低い

" data-en-clipboard="true"> 髄膜炎菌は、髄膜炎や敗血症を起こすことがある細菌ですが、日本で見ることは非常に少ないです。とはいえ、宮崎県の高校の寮でアウトブレイクが起きたり、日本には無縁というわけではありません。特に、軍隊や学生寮など、多く…

新生児の腸腰筋膿瘍

" data-en-clipboard="true"> 腸腰筋膿瘍は、小児にはまれな病態です。成人では椎体炎が波及して腸腰筋膿瘍を形成することがあります。新生児の腸腰筋膿瘍となるとさらに稀で、ケースシリーズもなく、症例報告が中心です。 " data-en-clipboard="true"> 日本…

コロナでも大泉門が膨隆することがある

" data-en-clipboard="true"> 乳児の新型コロナウイルス感染症で、大専門が膨隆した症例があったという報告です。CTで見ると、結構膨隆しています。 " data-en-clipboard="true"> Bulging Anterior Fontanelle Caused by Severe Acute Respiratory Syndrome …

尿から肺炎球菌?

" data-en-clipboard="true"> タイトルを見て「??」と思いましたが、なるほどです。 " data-en-clipboard="true"> 小児(だけではなく成人)の尿路感染症の多くは、大腸菌などのGram陰性菌が原因です。感染症科医としては、尿から「尿路感染症の原因になら…

コロナワクチンは小児の重症化予防に有効

韓国から5−11歳に対するファイザーワクチンの効果の報告です。 要点「重症化予防効果は非常に高い!」 ・ワクチンは感染を予防する効果は50%程度 ・重症化を予防する効果は100%(ワクチン2回接種者が一人も重症化していない) 2回接種者がかなり少なく(全…

薬剤師から見た小児抗菌薬の正しい投与量

小児の抗菌薬治療は、有効性と安全性を最適化する投与を行うことが重要です。薬剤のPK/PDの特性、起炎菌の薬剤感受性、感染部位、重症度などを考慮して、選択する必要がある。 この論文では、よく使う抗菌薬であるアモキシシリン、アモキシシリン・クラブラ…