2024-01-01から1年間の記事一覧
国内では、COVID-19の11波が落ち着きました。小児では重症例は少ないですが、新生児のCOVID-19の場合には慎重な対応が必要です。これまでの経験上、新生児が重症化しやすいという感じは受けなかったのですが、ベルギーから大規模な調査結果が出ました。 要点…
「アメリカでは感染症科は儲からないから人気がないんだよ」と、米国帰りの先生が何度がおっしゃっていました。 でも、日本では、感染症科医の給与も心臓外科医の給与も、基本的に変わりません(残業代の差はありますが。にも関わらず、感染症科はあまり人気…
今年7月に、血液培養ボトルの出荷制限が通知されて、日本中の医療機関の感染症部門が騒然としました。血液培養は、重症感染症において必須の検査で、この検査は正しい感染症診療の基本になります。 そこで、血液培養を取らなくても良いケースを改めて見直し…
今年からついに日本でも発売となったニルセビマブ(ベイフォータス)ですが、臨床現場からの効果を示すデータが続々と出てきています。既に、全出生児を対象に接種している地域もあり、RSウイルス感染症の疫学が変わりそうです。 Early Impact of Nirsevimab…
先日、小児感染症の集まりで、全国の小児病院や大学病院での広域抗菌薬(カルバペネム系)の使用量が比較された資料をみました。 全般的には、小児病院では広域抗菌薬の使用量が少なく、大学病院で多い傾向がありました(入院している患者層の影響は大きいと…
今年も多くのRSウイルス感染の症例を経験しました。一般的には、早産児や基礎疾患があるお子さんが重症化しやすいのですが、特にリスクの無い赤ちゃんでも、呼吸不全まで至ることもあります。様々な予防手段が出ているものの、重症化に関して、母親のリスク…
AmpC産生菌は、治療中にAmpC過剰産生を始める(脱抑制)ケースがあります。主な菌種としては、Enterobacterなどで、治療中に3世代セフェムなどの抗菌薬が効かなくなってしまうと、治療失敗に繋がります。 前任地の先生が調べてくれたまとめがあります。実際…
初期研修のとき、産科で胎児エコーをさせていただきましたが、計測が上手にできず、指導医の計測値とずいぶんズレがあった事を思い出します。妊娠週数を決定するエコーは、経験値と技術が必要です。また、そもそも超音波が利用しにくい途上国などの地域では…
人工涙液(点眼薬)に、カルバペネマーゼ産生緑膿菌が混入していたために、アウトブレイクが発生した報告になります。7%が死亡、22%が眼球摘出となっており、感染症を発症すると予後が悪いです。(おそらく販売数は多いので、感染症を発症してしまう割合は…
腸重積は、小児のコモンな疾患ですが、胃腸炎などで腸間膜リンパ節が腫れたりすることがきっかけで起こるとも言われています。昔、O157感染症で腸重積になった症例もあります。 COVID-19パンデミックでロックダウンがあった時には、あらゆる感染症が減少しま…
結膜炎は、小児科医もよく経験しますが、なんとなく点眼抗菌薬を処方してしまい、また、保育園からは出席停止になってしまう病気です。しかも、子どもは元気!という。米国で、結膜炎に抗菌薬処方を控えたり、出席停止扱いにしないほうが、(二次感染が起き…
子どもに抗菌薬を内服させるのは、本当に大変です。自分の経験でも、しばらくはなんとか飲ませられますが、そのうち嫌がるようになり、なかなか処方された日数をコンプリートするのは困難です。 感染症には、標準的な治療期間が決まっています。溶連菌の咽頭…
NICUは、非常に特殊な病棟です。1000g未満の赤ちゃんから、重い心臓病や消化器の病気を持つ赤ちゃんなどがいます。また、1mlの採血で貧血になることもあれば、使用できる薬剤が限られていたり、投与量の計画も難しいです。 そんな中、侵襲的な治療を行ってい…
マイコプラズマ感染症の臨床症状は、多彩です。通常は肺炎を起こす病原体ですが、皮疹(多形滲出性紅斑など)や関節炎なども起こします。これら、肺炎以外の症状を肺外症状と言います。研修医の頃、上級医から「なんか説明つかないときには、とりあえずマイ…
生成AIの進化が止まりません。 この論文も、まずChatGPTに要約させてから、読んでいるんですが、絶対に間違えだと思ったのが、「アブストラクトの査読経験がある参加者(68人、66.7%)は、経験のない参加者よりも識別の正確性が低かった(39.7% vs 49.3%)。…
2023年は、久しぶりのRSウイルス感染症の大きな流行がありました。人工呼吸器管理が必要な症例や通常の入院も多く、パンデミック後の呼吸器ウイルス感染の疫学が変わったことを肌で感じました。 米国でも同じくRSウイルスの流行が報告されていますが、この論…
ESBL産生大腸菌および肺炎桿菌による尿路感染症の治療 ESBL産生菌は、日本でも比較的多く見ることのある耐性菌です。大腸菌やクレブシエラ(肺炎桿菌)に多いです。当院でも大腸菌の約10%がESBL産生菌です。 この論文は、ESBL(拡張スペクトラムβ-ラクタマ…
" data-en-clipboard="true"> 小児でも、UTIを再発する例には時々苦労します。小児例では多くは、膀胱尿管逆流(VUR)などの尿路奇形や神経因性膀胱などの神経疾患が背景にあることが多いです。ST合剤を予防に用いますが、早々にST耐性菌が尿に保菌されるよう…
" data-en-clipboard="true"> 呼吸器病原体のマルチプレックスPCR検査のFilmArrayが導入されてから、ライノ・エンテロウイルスが検出される割合が非常に多く、びっくりしています。実際に感染してから、PCR検査陽性が続くというケースは、新型コロナウイルス…
" data-en-clipboard="true"> 小児で多いネフローゼ症候群は、微小変化群と言われるタイプです。大量のステロイドを使用し、しかも、再発が多く、とても苦労します。しかし、原因不明(特発性)と言われ、最近ではリツキシマブが使用されるようになっていま…
" data-en-clipboard="true"> 先程の論文が出て、その後、メタアナリシスが実施されました。 " data-en-clipboard="true"> 5つの論文が解析対象になりました。どの論文も単独では、ステロイドは腎瘢痕形成を有意に抑制はしないという結論でしたが、不思議な…
今日も、ヨーロッパ小児感染症学会(ESPID2024)でいろんな発表を聞いています。特に、若手が企画した「感染症とステロイド」というシンポジウムは、色んな意味で興味深かったです。 内容ももちろん良かったですが、30代くらいの若手が企画を作り、コーディネ…
" data-en-clipboard="true"> これも、ヨーロッパ小児感染症学会(ESPID2024)で紹介された論文です。アブストラクトの内容より重要な内容があるので、グラフで紹介します。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 細菌性髄膜炎は、小児…
今は、ヨーロッパ小児感染症学会でデンマークに来ています。コロナ前の2019年に来て以来、久しぶりのヨーロッパを楽しんでいます。5年間の間に、色々な進歩があり、キャッチアップしています。 学会で紹介されていた論文の一つです。 平成27年に日本も麻疹排…
熱帯熱マラリアは、非常に怖い感染症です。海外渡航が再び活発になり、日本の病院でも偶発的にマラリアの患者さんが来院するというケースも増えるかと思われます。 マラリアに関しては、あまりワクチンの開発が難航しており、あまり効果が高くありません。旅…
X(Twitter)では、大阪のトンデモ医師が話題になっていますが、医師(特に内科医)にとって、医学知識はよい医療を提供するために必須です。常に勉強です…。 知らない病気は診断できないし、診断できなければ治療もできません。私もたまにそういう患者さんに…
" data-en-clipboard="true"> 子どもの末梢静脈ラインの確保は、成人に比べて難しいですが、固定方法も同じくらい難しいです。昔の指導医が、「最もテープを少なく、最も動かなくするか」が大事と言っていましたが、未だに自分なりの絶対解はありません。そ…
" data-en-clipboard="true">生成AIの進歩がすごい勢いですが、医療分野でも色々と応用されてきています。感染症科医は、重症感染症などのコンサルトを受け、助言するのが仕事です。助言内容について、ChatGPTのレベルは、感染症科医のレベルと比較してどこ…
今年は、うちの長男が2回インフルエンザAに感染しました。インフルエンザは、A型とB型の2つの型が流行しますが、A型はH1 pdm09(2009年に出現した新型インフルエンザ)とH3(香港型)の2種類があります。 B型は、ビクトリア系統と山形系統に分類されますが、…
小児の菌血症の除外には、血液培養が必須です。十分な量が取れない、2セット率が低いなど、成人とは異なる難しさがあります。 「血培取って、抗菌薬!」というのはよくやりますが、血培が何時間発育しなければ、菌血症は除外できたと言えるでしょうか?通常…