小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2024-01-01から1年間の記事一覧

RSウイルスの流行は、検査のやり過ぎによる見せかけの流行かも(米国)

2023年は、久しぶりのRSウイルス感染症の大きな流行がありました。人工呼吸器管理が必要な症例や通常の入院も多く、パンデミック後の呼吸器ウイルス感染の疫学が変わったことを肌で感じました。 米国でも同じくRSウイルスの流行が報告されていますが、この論…

ESBL産生菌による尿路感染症の治療(ESPIDより)

ESBL産生大腸菌および肺炎桿菌による尿路感染症の治療 ESBL産生菌は、日本でも比較的多く見ることのある耐性菌です。大腸菌やクレブシエラ(肺炎桿菌)に多いです。当院でも大腸菌の約10%がESBL産生菌です。 この論文は、ESBL(拡張スペクトラムβ-ラクタマ…

再発性UTIの予防に効果的な膣内プロバイオティクス投与

" data-en-clipboard="true"> 小児でも、UTIを再発する例には時々苦労します。小児例では多くは、膀胱尿管逆流(VUR)などの尿路奇形や神経因性膀胱などの神経疾患が背景にあることが多いです。ST合剤を予防に用いますが、早々にST耐性菌が尿に保菌されるよう…

小児の呼吸器ウイルス感染症のPCR検査結果解釈

" data-en-clipboard="true"> 呼吸器病原体のマルチプレックスPCR検査のFilmArrayが導入されてから、ライノ・エンテロウイルスが検出される割合が非常に多く、びっくりしています。実際に感染してから、PCR検査陽性が続くというケースは、新型コロナウイルス…

小児の微小変化群ネフローゼ症候群の原因の一つが抗ネフリン抗体

" data-en-clipboard="true"> 小児で多いネフローゼ症候群は、微小変化群と言われるタイプです。大量のステロイドを使用し、しかも、再発が多く、とても苦労します。しかし、原因不明(特発性)と言われ、最近ではリツキシマブが使用されるようになっていま…

メタアナでは、ステロイドは腎瘢痕形成を予防するかも

" data-en-clipboard="true"> 先程の論文が出て、その後、メタアナリシスが実施されました。 " data-en-clipboard="true"> 5つの論文が解析対象になりました。どの論文も単独では、ステロイドは腎瘢痕形成を有意に抑制はしないという結論でしたが、不思議な…

ステロイドは小児の腎瘢痕形成を予防するか?

今日も、ヨーロッパ小児感染症学会(ESPID2024)でいろんな発表を聞いています。特に、若手が企画した「感染症とステロイド」というシンポジウムは、色んな意味で興味深かったです。 内容ももちろん良かったですが、30代くらいの若手が企画を作り、コーディネ…

フランスでの細菌性髄膜炎の状況

" data-en-clipboard="true"> これも、ヨーロッパ小児感染症学会(ESPID2024)で紹介された論文です。アブストラクトの内容より重要な内容があるので、グラフで紹介します。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 細菌性髄膜炎は、小児…

麻疹排除後の抗体価の減少

今は、ヨーロッパ小児感染症学会でデンマークに来ています。コロナ前の2019年に来て以来、久しぶりのヨーロッパを楽しんでいます。5年間の間に、色々な進歩があり、キャッチアップしています。 学会で紹介されていた論文の一つです。 平成27年に日本も麻疹排…

マラリアもモノクローナル抗体で予防する時代

熱帯熱マラリアは、非常に怖い感染症です。海外渡航が再び活発になり、日本の病院でも偶発的にマラリアの患者さんが来院するというケースも増えるかと思われます。 マラリアに関しては、あまりワクチンの開発が難航しており、あまり効果が高くありません。旅…

結局、内科医は知識があってなんぼです。

X(Twitter)では、大阪のトンデモ医師が話題になっていますが、医師(特に内科医)にとって、医学知識はよい医療を提供するために必須です。常に勉強です…。 知らない病気は診断できないし、診断できなければ治療もできません。私もたまにそういう患者さんに…

小児の末梢ラインの固定方法

" data-en-clipboard="true"> 子どもの末梢静脈ラインの確保は、成人に比べて難しいですが、固定方法も同じくらい難しいです。昔の指導医が、「最もテープを少なく、最も動かなくするか」が大事と言っていましたが、未だに自分なりの絶対解はありません。そ…

ChatGPT-4で感染症科医の出番は無くなる??

" data-en-clipboard="true">生成AIの進歩がすごい勢いですが、医療分野でも色々と応用されてきています。感染症科医は、重症感染症などのコンサルトを受け、助言するのが仕事です。助言内容について、ChatGPTのレベルは、感染症科医のレベルと比較してどこ…

ひっそりと姿を消したインフルエンザウイルスB型の山形系統

今年は、うちの長男が2回インフルエンザAに感染しました。インフルエンザは、A型とB型の2つの型が流行しますが、A型はH1 pdm09(2009年に出現した新型インフルエンザ)とH3(香港型)の2種類があります。 B型は、ビクトリア系統と山形系統に分類されますが、…

血液培養は何時間陰性ならOK?

小児の菌血症の除外には、血液培養が必須です。十分な量が取れない、2セット率が低いなど、成人とは異なる難しさがあります。 「血培取って、抗菌薬!」というのはよくやりますが、血培が何時間発育しなければ、菌血症は除外できたと言えるでしょうか?通常…

小児の血培採取時の皮膚消毒は?

" data-en-clipboard="true"> 小児科では、頻繁に血液培養を採取します。消毒方法は、色々で、イソジン、クロルヘキシジン、アルコールなどを使用します。また、点滴確保時の血管内カテーテルから、血培を採取(いわゆる逆流採血)しても良いかも、議論にな…

米国の小児COVID-19ガイダンス 入院編

第3節 COVID-19による入院が必要な小児患者におけるCOVID-19の治療 COVID-19による小児入院患者の評価 提言3.1: COVID-19以外の理由で入院し、呼吸サポートを必要としない患者については、外来患者に推奨されるアプローチを適用することを提案する。 コメン…

米国の小児COVID-19のガイダンス 外来編

今日の外来で、素敵な似顔絵を頂いたので、プロフィール画像を変更してみました。 第2回目です。外来治療編になります。 第2節 COVID-19による入院を必要としない小児患者におけるCOVID-19の治療 提言 (図3): 図3. COVID-19による入院を必要としない小児患…

米国の小児COVID-19ガイダンス

" data-en-clipboard="true"> 米国小児感染症学会(PIDS)から、小児のCOVID-19の予防と治療に関するコンセンサス・ステートメント(ガイダンス)が出ました。本文が長いので、4つの章がありますので、分けて紹介します。 " data-en-clipboard="true"> 今回は…

Toxin陰性のC. difficileは治療対象?

" data-en-clipboard="true"> Clostridioides difficile感染症(CDI)(いわゆる偽膜性腸炎)は、小児ではかなり少ない疾患です。毒素(toxin)産生株が CDIを引き起こします。しかし、toxin検査は感度が低く、toxin産生株がいても陽性にならないことも多いで…

MRSAに接触感染対策止める??

接触感染対策CPは、ガウン、手袋などを装着する感染対策です。耐性菌を保菌していたり、下痢症状がある患者などに適応されます。医療従事者にとっては、個人防護具PPEの着脱が面倒であり、コストもかかります。下痢については仕方ないと思うのですが、耐性菌…

新型コロナウイルス迅速抗原検査が偽陽性になる人の特徴

ウイルス迅速抗原検査は、日常診療で頻用される検査です。新型コロナウイルス以外にも、インフルエンザ、RSウイルスなど、毎日のように使用します。 この検査は、一般的に「感度が低く、特異度が高い」ので、偽陰性(感染しているけど検査陰性になる人)が多…

セフィデロコルと赤色尿

セフィデロコルは、塩野義製薬が開発した耐性グラム陰性菌用の抗菌薬です。昨年、厚生労働省が承認し、日本でも発売予定です。 www.nikkei.com 海外で、一足先に使用されており、赤色尿が出るという副反応が報告されています。 Cefiderocol Red Wine Urine S…

小児の化膿性関節炎のガイドライン出ました

米国小児感染症学会と米国感染症学会から、小児の化膿性関節炎のガイドラインがでました。ダイジェストサマリーの日本語訳です(一部、意訳しています)。 今回のポイントは、治療期間を短期にすることを推奨したことです。治療反応が良ければ、10−14日間の…

小児救急は大病院に行ったほうが良いのか?

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 患者や家族の大病院信仰がありますが、基本的には、まずはかかりつけの先生に見ていただいて、必要なら大病院を紹介受診ということになります。 " data-en-clipboard="true"> 小児の救急外来でも、…

RSV予防のシナジスを何月から始めるか?

" data-en-clipboard="true"> 未熟児や基礎疾患を持つ子どもに重篤な気道感染症を起こすRSウイルスですが、日本では、(高リスク集団に対して)パリビズマブの予防投与が行われます。流行期が始まる直前に接種を始めるのですが、色々と問題点があります。 " …

小児の発熱性好中球減少症(FN)では、末梢静脈からも血培が必要か?

" data-en-clipboard="true"> 小児のFNでは、血液培養の採取が必須です。多くの患者さんが、中心静脈カテーテル(CVC)を留置しているため、CVCからの逆流採血で血液培養を採取します。シングルルーメンのカテーテルでは、1セットということになります。血培…

Fusarium solaniによる髄膜炎

" data-en-clipboard="true"> メキシコで集団発生したFusariumによる髄膜炎のアウトブレイク報告です。硬膜外麻酔の道具や薬品の汚染なのでしょうか? " data-en-clipboard="true"> Neurovascular Complications of Iatrogenic Fusarium solani Meningitis. …

水痘の曝露後予防の効果

" data-en-clipboard="true"> 一昔前は、小児病棟内で水痘の発症というのがよくありました。最近は、水痘ワクチンが普及して、本当に水痘を見る機会が減ってきました。 " data-en-clipboard="true"> 水痘は、空気感染する非常に感染力の強い感染症なので、水…

コロナ陽性の乳児期早期発熱は、細菌感染症の合併が少ないかも

最近、COVID-19の症例が増加しています。インフルエンザの流行がピークアウトしましたが、その分、コロナが増えている感じです。 乳児期早期発熱(生後3ヶ月未満の発熱)では、基本的に細菌感染症の精査が必須です。つまり、血液検査、尿検査などを行います…