小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2024-01-01から1年間の記事一覧

小児の末梢ラインの固定方法

" data-en-clipboard="true"> 子どもの末梢静脈ラインの確保は、成人に比べて難しいですが、固定方法も同じくらい難しいです。昔の指導医が、「最もテープを少なく、最も動かなくするか」が大事と言っていましたが、未だに自分なりの絶対解はありません。そ…

ChatGPT-4で感染症科医の出番は無くなる??

" data-en-clipboard="true">生成AIの進歩がすごい勢いですが、医療分野でも色々と応用されてきています。感染症科医は、重症感染症などのコンサルトを受け、助言するのが仕事です。助言内容について、ChatGPTのレベルは、感染症科医のレベルと比較してどこ…

ひっそりと姿を消したインフルエンザウイルスB型の山形系統

今年は、うちの長男が2回インフルエンザAに感染しました。インフルエンザは、A型とB型の2つの型が流行しますが、A型はH1 pdm09(2009年に出現した新型インフルエンザ)とH3(香港型)の2種類があります。 B型は、ビクトリア系統と山形系統に分類されますが、…

血液培養は何時間陰性ならOK?

小児の菌血症の除外には、血液培養が必須です。十分な量が取れない、2セット率が低いなど、成人とは異なる難しさがあります。 「血培取って、抗菌薬!」というのはよくやりますが、血培が何時間発育しなければ、菌血症は除外できたと言えるでしょうか?通常…

小児の血培採取時の皮膚消毒は?

" data-en-clipboard="true"> 小児科では、頻繁に血液培養を採取します。消毒方法は、色々で、イソジン、クロルヘキシジン、アルコールなどを使用します。また、点滴確保時の血管内カテーテルから、血培を採取(いわゆる逆流採血)しても良いかも、議論にな…

米国の小児COVID-19ガイダンス 入院編

第3節 COVID-19による入院が必要な小児患者におけるCOVID-19の治療 COVID-19による小児入院患者の評価 提言3.1: COVID-19以外の理由で入院し、呼吸サポートを必要としない患者については、外来患者に推奨されるアプローチを適用することを提案する。 コメン…

米国の小児COVID-19のガイダンス 外来編

今日の外来で、素敵な似顔絵を頂いたので、プロフィール画像を変更してみました。 第2回目です。外来治療編になります。 第2節 COVID-19による入院を必要としない小児患者におけるCOVID-19の治療 提言 (図3): 図3. COVID-19による入院を必要としない小児患…

米国の小児COVID-19ガイダンス

" data-en-clipboard="true"> 米国小児感染症学会(PIDS)から、小児のCOVID-19の予防と治療に関するコンセンサス・ステートメント(ガイダンス)が出ました。本文が長いので、4つの章がありますので、分けて紹介します。 " data-en-clipboard="true"> 今回は…

Toxin陰性のC. difficileは治療対象?

" data-en-clipboard="true"> Clostridioides difficile感染症(CDI)(いわゆる偽膜性腸炎)は、小児ではかなり少ない疾患です。毒素(toxin)産生株が CDIを引き起こします。しかし、toxin検査は感度が低く、toxin産生株がいても陽性にならないことも多いで…

MRSAに接触感染対策止める??

接触感染対策CPは、ガウン、手袋などを装着する感染対策です。耐性菌を保菌していたり、下痢症状がある患者などに適応されます。医療従事者にとっては、個人防護具PPEの着脱が面倒であり、コストもかかります。下痢については仕方ないと思うのですが、耐性菌…

新型コロナウイルス迅速抗原検査が偽陽性になる人の特徴

ウイルス迅速抗原検査は、日常診療で頻用される検査です。新型コロナウイルス以外にも、インフルエンザ、RSウイルスなど、毎日のように使用します。 この検査は、一般的に「感度が低く、特異度が高い」ので、偽陰性(感染しているけど検査陰性になる人)が多…

セフィデロコルと赤色尿

セフィデロコルは、塩野義製薬が開発した耐性グラム陰性菌用の抗菌薬です。昨年、厚生労働省が承認し、日本でも発売予定です。 www.nikkei.com 海外で、一足先に使用されており、赤色尿が出るという副反応が報告されています。 Cefiderocol Red Wine Urine S…

小児の化膿性関節炎のガイドライン出ました

米国小児感染症学会と米国感染症学会から、小児の化膿性関節炎のガイドラインがでました。ダイジェストサマリーの日本語訳です(一部、意訳しています)。 今回のポイントは、治療期間を短期にすることを推奨したことです。治療反応が良ければ、10−14日間の…

小児救急は大病院に行ったほうが良いのか?

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 患者や家族の大病院信仰がありますが、基本的には、まずはかかりつけの先生に見ていただいて、必要なら大病院を紹介受診ということになります。 " data-en-clipboard="true"> 小児の救急外来でも、…

RSV予防のシナジスを何月から始めるか?

" data-en-clipboard="true"> 未熟児や基礎疾患を持つ子どもに重篤な気道感染症を起こすRSウイルスですが、日本では、(高リスク集団に対して)パリビズマブの予防投与が行われます。流行期が始まる直前に接種を始めるのですが、色々と問題点があります。 " …

小児の発熱性好中球減少症(FN)では、末梢静脈からも血培が必要か?

" data-en-clipboard="true"> 小児のFNでは、血液培養の採取が必須です。多くの患者さんが、中心静脈カテーテル(CVC)を留置しているため、CVCからの逆流採血で血液培養を採取します。シングルルーメンのカテーテルでは、1セットということになります。血培…

Fusarium solaniによる髄膜炎

" data-en-clipboard="true"> メキシコで集団発生したFusariumによる髄膜炎のアウトブレイク報告です。硬膜外麻酔の道具や薬品の汚染なのでしょうか? " data-en-clipboard="true"> Neurovascular Complications of Iatrogenic Fusarium solani Meningitis. …

水痘の曝露後予防の効果

" data-en-clipboard="true"> 一昔前は、小児病棟内で水痘の発症というのがよくありました。最近は、水痘ワクチンが普及して、本当に水痘を見る機会が減ってきました。 " data-en-clipboard="true"> 水痘は、空気感染する非常に感染力の強い感染症なので、水…

コロナ陽性の乳児期早期発熱は、細菌感染症の合併が少ないかも

最近、COVID-19の症例が増加しています。インフルエンザの流行がピークアウトしましたが、その分、コロナが増えている感じです。 乳児期早期発熱(生後3ヶ月未満の発熱)では、基本的に細菌感染症の精査が必須です。つまり、血液検査、尿検査などを行います…

【重要】小児敗血症の基準が変わります!

2024年(始まって1ヶ月ですが)、小児感染症分野の論文でおそらく最重要の論文の一つが出ました。 結論から言うと、「敗血症の定義が変わります」という、臨床へのインパクトも絶大な論文です。 そもそも小児の敗血症の定義ですが、2005年に小児敗血症コンセ…

オミクロン株より、RSウイルスのほうが重症化しやすい

新型コロナ流行当初は、MIS-Cなど様々な合併症や、呼吸障害が出るコロナを経験しました。オミクロン株が主体となってからは、(感染症法上の5類への以降もあり)入院が減ってきました。2023年は、感染対策の緩和から、RSウイルスが大流行し、今はインフルエ…