ウイルス迅速抗原検査は、日常診療で頻用される検査です。新型コロナウイルス以外にも、インフルエンザ、RSウイルスなど、毎日のように使用します。
この検査は、一般的に「感度が低く、特異度が高い」ので、偽陰性(感染しているけど検査陰性になる人)が多く、偽陽性(感染していないけど検査陽性になる人)は少ないのが特徴です。
今回、新型コロナウイルス迅速抗原検査で、偽陽性が継続的にみられた人の特徴が報告されました。
要点
・新型コロナウイルス迅速抗原検査で、偽陽性になりやすいのは、女性・自己免疫疾患のある人です。
Persistent False Positive Covid-19 Rapid Antigen Tests.
N Engl J Med. 2024 Feb 22;390(8):764-765.
SARS-CoV-2に対する迅速抗原検査は、急性感染の診断に有効な手段である。
我々は、SARS-CoV-2の迅速抗原検査とRT-PCR検査をペアで受けた2つのコホート研究をもとに、研究を行った。偽陽性は、偶発的偽陽性(少なくとも1回の迅速抗原検査で陰性を示した参加者)と持続的偽陽性(少なくとも5日間の迅速抗原検査で陽性を示し、迅速抗原検査で陰性を示さなかった参加者)に分類した。
11,297人のうち、1.7%に少なくとも1回の迅速抗原検査の偽陽性が認められた。偽陽性191人のうち、13人は持続的偽陽性だった。持続的偽陽性の参加者のほとんどは、女性で(13人中12人)、Quidel QuickVue迅速抗原検査を使用していた(13人中12人)。持続的偽陽性の参加者は、自己免疫疾患の有病率が高かった(13人中6人 vs 178人中10人;オッズ比、14.4;95%信頼区間、3.2~59.9)。
SARS-CoV-2の検査は一般的に症状のある患者に対して行われるため、偽陽性の結果は臨床的には認識されない可能性がある。感染後や症状がないにもかかわらず、持続的な抗原検査陽性を認めた場合、この持続的偽陽性で説明可能と考えられる。偽陽性が持続し、自己免疫疾患の既往歴がある患者には、他社の迅速抗原検査で再検査を行うことが良いと考えられる。