小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

Fontan術後の口腔内カンジダの治療オプション

治療選択肢が少し難しいです。 今までは、こういった背景のない口腔内カンジダには、 なんとなくフロリードゲルやイトリゾール内服液を使用しました。 (米国で使用されるナイスタチン、クロトリマゾールは日本では口腔内に使用できる製剤はないです。クロマ…

小児の口腔カンジダ症 thrushのまとめ UpToDate

小児の口腔カンジダ症 thrush 乳児によく見られる疾患である。抗菌薬、ステロイド(内服と吸入)、化学療法、放射線療法がリスク因子になる。HIVなどの免疫不全症候群でも見られる。 病型は、大きく3つになる。 1.鵞口瘡(pseudomenbraneous oropharyngeal…

早すぎるインフルエンザワクチン接種も良くないかもしれない

早すぎるインフルエンザワクチン接種も良くないかもしれない Intraseason waning of influenza vaccine effectiveness Clin Infect Dis 2019;68(10):1623 北カリフォルニアで実施された研究です。不活化インフルエンザワクチンを接種された人(小児と成人)…

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、ギラン・バレー症候群(GBS)の発症をわずかに増やす可能性はあるが、他の自己免疫疾患の増加は起きない。

Human papillomavirus vaccination and the risk of autoimmune disorders: A systematic review and meta-analysis Vaccine. 2019;37:3031 フランスの200万人以上の女性について、HPVワクチンを接種した後の、自己免疫疾患の発症を、非接種群と比較したstud…

小児の急性心筋炎UpToDate要約

【序文】 心筋炎は、様々な原因により引き起こされる心筋の炎症であり、多くは感染が原因である。患者は、様々な症状を呈し、ほとんど自覚症状のないものから心原性ショック・不整脈・突然死を起こすこともある。 【原因】 心筋炎の原因は、感染症、中毒、自…

卒後25年以上の家庭医は、抗菌薬の処方期間が長い

Late-career Physicians Prescribe Longer Courses of Antibiotics Clin Infect Dis.2019;69:1467 抗菌薬の処方期間は、ガイドラインで定められた期間より長くなりがちである。処方期間がばらつく理由がはっきりすれば、適切な抗菌薬使用につながることが期…

書評:小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK 疑問や不安がすっきり!

小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK 疑問や不安がすっきり! 森戸やすみ、宮原篤 著 以前、外来小児科学会のワークショップで御一緒した宮原先生の著書です。 ワクチンに関する「ド正論」を、「科学的根拠に基づいて」書いてありました。 「子供を感染…

インフルエンザレクチャー(群馬県看護協会渋川地区研修会)後半

このようなケースを想定して、グループディスカッションをしてみました。 ケース1:前日の夜から、発熱していた息子7歳。近くのクリニックを受診させました。迅速検査の結果は「インフルエンザA陽性」でした。 1.自宅で息子をケアする時の対応 2.病院で勤…

インフルエンザレクチャー(群馬県看護協会渋川地区研修会)前半

近隣医療機関の看護師さん向けにインフルエンザのレクチャーを行いました。 スライドの抜粋です。前半部分のみ公開します。 後半のケーススタディは、非常に活発な議論ができ、私も勉強になりました。

CRP>30mg/dLの小児患者は死亡率が高い

Extremely elevated C-reactive protein levels are associated with unfavourable outcomes, including death, in paediatric patients. Acta Pediatr. 2016;105(1):e17-21 今まで、CRPの値と死亡率は関係がないと認識していましたが、さすがに30mg/dLを超…

小児でも経口抗菌薬・PPIの処方はCDIの発症リスクを増加させる

Risk Factors for Community-Associated Clostridium difficile Infection in Children J Pediatric. 2017;186:105-9. 米軍の処方データベースを用いて、行ったケースコントロール研究です。1−18歳までの市中発症Clostridioides difficile infection(CA-CDI)…

免疫抑制薬使用中に帯状疱疹ワクチンを接種しても、帯状疱疹発症のリスクは高くない

免疫抑制薬使用中に帯状疱疹ワクチンを接種しても、帯状疱疹発症のリスクは高くない Risk of Herpes Zoster and Disseminated Varicella Zoster in Patients Taking Immunosuppressant Drugs at the Time of Zoster Vaccination Mayo Clin Proc. 2015;90(7):…

鳥インフルエンザの(H5N1)ワクチンでも筋注が副作用が少ない

Immunogenicity of an inactivated adjuvanted whole-virion influenza A (H5N1, NIBRG-14) vaccine administered by intramuscular or subcutaneous injection. Microbial Immunology. 2010;54(2):81-8. 20-40歳の健康な日本人の成人120名に不活化インフル…

Lactobacillus reuteriは、小児下痢症に使用しても、有意な臨床症状の改善を認めない

Lack of Efficacy of Lactobacillus reuteri DSM 17938 for the Treatment of Acute Gastroenteritis Pediatr Infect Dis J. 2019;38:e237 Lactobacillus reuteriは、5歳未満の小児下痢症に対して使用しても、有意な臨床症状の改善を認めない ポーランドでの…

地域で破棄された針で針刺しをした時の対応(Redbook要約)

公共の場所に捨てられた皮下注射針や注射器との接触や負傷では 血液媒介感染症(HIV、HBV、HCV)の感染リスクと破傷風のリスクを考える必要がある 274名の地域で針刺した小児を19年間フォローした研究では、抗体の陽転化なし(Pediatrics. 2008;122:e487) …

心筋炎の診断はcardiac MR (CMR)が有効

Cardiovascular magnetic resonance techniques and findings in children with myocarditis: a multicenter retrospective study J Cardiovasc Magn Reson. 2015;17:96. 急性心筋炎は、ウイルス感染が原因となることが多いのですが、臨床症状や検査所見が非…

小児整形外科インプラント術後感染は、ドレナージ(できればインプラント抜去)と長期抗菌薬が必要

Clinical Characteristics and Outcomes of Staphylococcus aureus Implant-associated Infections in Children. Pediatr Infect Dis J. 2019 Aug;38(8):808-811. doi: 10.1097/INF.0000000000002349. 小児整形外科領域でのインプラント関連感染症(IAI)の臨…

顔が見えるhandshake stewardshipによる抗菌薬適正使用プログラムは有効である

Sustainability of Handshake Stewardship: Extending a Hand Is Effective Years Later Clin Infect Dis. 2019 Oct 4. pii: ciz650. doi: 10.1093/cid/ciz650. [Epub ahead of print] Colorado小児病院では、抗菌薬適正使用の方法として「handshake steward…

閉鎖式輸液管理システム(needle-free connectors)は開放式の三方活栓と比較してカテーテル関連血流感染症を減らす

Impact of needle-free connectors compared with 3-way stopcocks on catheter-related bloodstream infection rates: A meta-analysis. Rosenthal VD. Am J Infect Control. 2019 Sep 21. pii: S0196-6553(19)30761-8. doi: 10.1016/j.ajic.2019.08.015. […

漏斗胸Nuss法術後の感染症について

Obermeyer RJ, et al. J Pediatric Surgery. 2016;51:154. Risk factors and management of Nuss bar infection in 1717 patients over 25 years. Nuss法は、漏斗胸の治療法として確立しています。 漏斗胸に1本または2本の金属のバーを通して、半ば強制的に…