小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

早すぎるインフルエンザワクチン接種も良くないかもしれない

早すぎるインフルエンザワクチン接種も良くないかもしれない
Intraseason waning of influenza vaccine effectiveness
Clin Infect Dis 2019;68(10):1623
 
北カリフォルニアで実施された研究です。不活化インフルエンザワクチンを接種された人(小児と成人)を対象に、気道感染症のために受診した際にインフルエンザとRSウイルスのPCR検査を実施しました。インフルエンザの診断がprimary outcomeで、インフルエンザワクチン接種からの日数と感染の関係をロジスティック回帰モデルで分析しました。ワクチン接種後14−41日の患者と比較して、42−69日の人がインフルエンザと診断される割合(オッズ比)は1.32 (95%CI, 1.11-1.55)で、接種から28日毎に約16%ずつオッズ比が上昇しました。接種後154日を超えるとオッズ比は2.06と診断されたました。RSウイルス感染と診断された患者はインフルエンザワクチンの接種後の日数とは関連がなかった。
このことから、不活化インフルエンザワクチンの有効性はインフルエンザ流行期の間に低下する。そのため、インフルエンザワクチンの接種時期について再考が必要かもしれない。
 
 インフルエンザワクチン接種から2−6週間が効果のピークとすると、接種時期は11月中旬とか、少し遅らせ気味にしたほうが良いかもしれないですね。でも、例年より早くピークが来た時に、抗体が作られる前に、インフルエンザにさらされるのも避けたいですが。
 

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