小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児整形外科インプラント術後感染は、ドレナージ(できればインプラント抜去)と長期抗菌薬が必要

Clinical Characteristics and Outcomes of Staphylococcus aureus Implant-associated Infections in Children.

Pediatr Infect Dis J. 2019 Aug;38(8):808-811. doi: 10.1097/INF.0000000000002349.
 
小児整形外科領域でのインプラント関連感染症(IAI)の臨床的特徴をまとめた論文です。
テキサス小児病院で、8年間のデータを後方視的に解析しました。
45人に47件のIAIが発生しました。47%は椎体のインプラントでした。術後30日以内に生じた感染は25.5%で多くは、術後1ヶ月以上を経過して起きます。
複数菌種感染は6例、3名は菌血症を伴っていました。72%がMSSA、13%がMRSAでした。
全例で、外科的デブリードマン、洗浄、抗菌薬投与を行っています。22例が、最初の手術でインプラントを抜去し、7例が遅れて抜去、18例はインプラントを温存しました。インプラント抜去例はすべて治療成功でしたが、インプラント温存例の治療成功率は83%でした。
 
 MRSAとMSSAの感染で、あまり顕著な臨床経過の違いはなさそうでした。(MRSAの症例数が少なく有意差がでないのかもしれません。)
治療期間は、初期抗菌薬の投与の中央値は4週間(範囲1−18週間)で、多くはセファゾリンが使用されました。半数以上の症例で、chronic oral suppressionに移行していいました。3名のみ、リファンピンの併用を行いました。経口抗菌薬の投与期間は、中央値12ヶ月(2ヶ月ー3年)でした。セファレキシンやST合剤が多かったようです。
 

f:id:PedsID:20191008224238p:plain