小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

米国のCOVID-19。小児の大規模コホート研究から分かること

" data-en-clipboard="true"> 米国から大規模な小児の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症に関するコホート研究がでました。5000名以上の小児(一部若年成人)が含まれる、結果です。 " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 主要な結…

バンコマイシンアレルギーの場合、テイコプラニンを使えるか?

バンコマイシンとテイコプラニンは、主に耐性Gram陽性球菌(MRSAなど)の感染症に使用する薬剤です。どちらも、グリコペプチド系の薬剤になります。テイコプラニンは米国で販売されていないため、臨床使用成績などのエビデンスはバンコマイシンの方が豊富です…

培養陰性の化膿性関節炎ではKingellaを考える

" data-en-clipboard="true"> 原因菌検索のためのPCR検査の有用性に関する論文です。化膿性関節炎の原因菌は、黄色ブドウ球菌などが多いですが、小児においては、Kingella kingaeを外すことは出来ません。しかし、この菌はなかなか発育しないため、培養陰性…

原因菌不明の感染性心内膜炎に弁のbroad-range bacterial PCRは有効

" data-en-clipboard="true"> 感染性心内膜炎は、死亡率が高く、原因菌に合わせた適切な抗菌薬治療と必要なタイミングでの外科治療が重要な病気です。 " data-en-clipboard="true"> 先日、感染性心内膜炎の初期治療をまとめましたが、治療を始めたのに血液培…

術後縦隔炎をエコーで診断する

小児の心臓血管外科術後に最も起きてほしくない合併症の一つが縦隔炎です。診断が難しい(表層の感染と違い創部の変化があまり無い)、治療が難しい(再手術と長期間の静注抗菌薬投与が必要)点が特に問題です。 診断感度は造影CTが良いのですが、被爆の問題…

ESBL産生菌の尿路感染症、初期治療を外しても解熱までの時間は同じ

ESBL産生腸内細菌科細菌による尿路感染症は、治療選択肢が少なく、大きな問題です。初期治療から、抗菌薬を外したくないと思えば、カルバペネムの使用量が増えてしまいます。 成人では、ESBL産生菌の腎盂腎炎で、初期治療が適切でない(感受性のない)抗菌薬…

センセー、胃残破棄ですか、戻しますかー?

" data-en-clipboard="true"> 経鼻胃管(NGチューブ)を挿入している患者さんを診療していると、注入前に異内容の残存(いわゆる胃残)があることがあります。消化しかけの栄養剤などであることが多いのですが、これを棄てるのか、戻すのか、よく聞かれます…

COVID-19に対して、出生時のBCGは「やっぱり」効果を示せない

" data-en-clipboard="true"> BCGがCOVID-19に有効かもしれないという報道があり、日本で一時的にBCGが品薄になることが有りました。この根拠は、BCGを定期接種化している国では、COVID-19患者数が少ないという報告です。BCGがCOVID-19を予防するのではとい…

髄液検査の針は、何cmまで刺せば良いのか?

" data-en-clipboard="true"> 腰椎穿刺を行う時、なかなか髄液が採取できないことありますよね(私はあります)。そんな時、刺入している向きが間違っているのか、脊柱管がもっと深くて、まだ届いていないだけなのか、分からないので困ってしまいます。 " da…

髄液検査についてひたすら語る

トリビアの宝庫とも言えるすげー論文です。 「小児の髄液検査、一体どうすればいいのか…」小児科医になったら全員が困ったことのあるテーマだと思います。 歴史から解剖学、合併症、適応、禁忌など 髄液検査について語り尽くしている濃厚な論文です。 個人的…

感染性心内膜炎の初期治療のまとめ

" data-en-clipboard="true">感染性心内膜炎(IE)は突然やってくる…。 " data-en-clipboard="true">IEの初期治療は、ガイドラインの該当箇所が分かりにくく、 " data-en-clipboard="true">急いで治療したいのに、なかなか見つからなくて焦ることがあります。…

やっぱりブドウ球菌用ペニシリンは必要だよね

" data-en-clipboard="true">当院の浅見先生の論文です。 " data-en-clipboard="true">欧米では、MSSA(メチシリン感性黄色ブドウ球菌)の感染性心内膜炎(IE)の治療は、ナフシリンやオキサシリンなどのブドウ球菌用ペニシリンが使用されますが、日本には有…

BCG(TOKYO-172株)の副作用(タイからの報告)

BCGは日本でも定期接種になっているワクチンです。結核の発症(特に重症化)を防ぐ効果が高く、多くの国で実施されています。 この論文は、タイからのBCG副作用の報告です。タイでは、BCGワクチンは生後すぐに接種し、皮内注射になります。日本とは接種時期…

乳児のCMV肝炎は、IgM陰性でも「全然」否定できない!

" data-en-clipboard="true"> 今後、「乳児の肝機能異常」を診た時、サイトメガロウイルス(CMV)精査の方針を大きく変えないといけないと痛感した、びっくり論文です。結構、CMV-IgM陰性だけ確認して、CMVをなんとなく否定していましたが、これからは血中CM…

Youtubeデビューしました

www.youtube.com 自分では恥ずかしくて見ていませんが、小児の新型コロナウイルス感染症について、一般の方に分かりやすいYoutube動画を作成しました。 群馬県庁にあるtsulunosという動画撮影スタジオで撮影しました。

B群溶連菌の感染性心内膜炎は結構多い

" data-en-clipboard="true"> 感染性心内膜炎(IE)は、重篤な感染症です。以前は連鎖球菌が最大の起炎菌でしたが、最近は黄色ブドウ球菌の頻度が増加しています。この研究は、クリーブランドの成人のIEのレジストリーから、IEの原因となった連鎖球菌の菌種の…

COVID-19に対するレムデシビルの効果(ACTT-1とSolidarity studyの2つのRCTが明らかにする事実)

" data-en-clipboard="true"> 2020年10月17日に、世界保健機関(WHO)はレムデシビルをはじめとする4種類の抗ウイルス薬がCOVID-19に対して無効であると発表しました。(レムデシビルなど4薬効果なし コロナ入院患者にーWHO) " data-en-clipboard="true"> …

BCGの有効期限は何年か

" data-en-clipboard="true"> 引き続きBCGと結核に関する論文です。前回の記事(BCGは結核を予防するか)で、BCGは(潜在性結核を含めた)全結核感染を19%予防し、結核の発症を71%程度予防することを紹介しました。 " data-en-clipboard="true"> 今回は、B…

BCGは結核感染を予防するか?

" data-en-clipboard="true"> 「BCGワクチンは結核を予防する」と言われて、なんとなく納得していました。 " data-en-clipboard="true">が、結核の予防を考える点で、研究がどの予防効果を判定しているかを明らかにすることが重要です。 ①結核感染を予防(無…

新型コロナウイルスとインフルエンザウイルス同時流行に対する考え(上毛新聞)

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されています。インフルエンザワクチンに対する問い合わせが例年以上に多いと感じます。 先日、上毛新聞の取材で、同時流行についてお話をしました。

母体のHI抗体価と乳児のインフルエンザ

" data-en-clipboard="true"> 「母体のインフルエンザ抗体価が高いと、乳児のインフルエンザは減るのか?」という疑問に答えようとした研究です。 要点は以下になります。 ・母体のHI抗体価が高いと、B型インフルエンザ(山形株)にはかかりにくそうだ ・し…

IRAK4 欠損症の特徴と感染症予防戦略

" data-en-clipboard="true">IRAK4欠損症とは IRAK4とは、Interleukin-1 receptor associated kinase4のこと。ヒトの自然免疫系は、病原体が侵入すると、病原体に特異的な分子パターンを認識するレセプター (pattern recognition receptor: PRR) がある。PRR…