小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

顔が見えるhandshake stewardshipによる抗菌薬適正使用プログラムは有効である

Sustainability of Handshake Stewardship: Extending a Hand Is Effective Years Later

 2019 Oct 4. pii: ciz650. doi: 10.1093/cid/ciz650. [Epub ahead of print]

 

 Colorado小児病院では、抗菌薬適正使用の方法として「handshake stewardship」を導入し、抗微生物薬の使用量と購入金額を減らすことに成功したことを報告した。Handshke stewardshipは、(1)抗菌薬の事前許可性を廃止、(2)すべての抗微生物薬の処方をレビュー、(3)医師と薬剤師がレビューの結果を共有、(4)毎日回診して主治医と人間的な関係性を構築するシステムである。この方法を導入した後の、経過を報告した論文である。

 後方視的に抗微生物薬の使用を、病院全体・病棟毎・薬剤ごとに8年間のデータを収集した。使用量は、DOT/1000PDで算出した。

 結果は、病院全体での使用は891から655 DOT/1000PDに減少した。減少の多くは抗菌薬によるものであった。抗菌薬投与歴のある小児患者の入院も65%から52%へ減少した。患者の重症化、死亡率、在院期間などに負の影響はなかった。

 Handshake stewardshipは、効果的であり、持続可能な抗微生物薬使用適正化の方法である。

 

 この方法は、処方制限や介入などを強化することに伴う主治医の心情(反感)に配慮した良い手段だと思われます。しかし、すべての抗菌薬処方をチェックし、主治医のもとに言って、適正使用と同時に教育を行うことは、十分な人的リソースが無いと難しいと思います。

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コロラド小児病院の体制>

総病床数は444床、NICU82床、PICU32床、CICU16床。血液腫瘍科のベッド数は48。

骨髄移植と心臓・肝臓・腎臓移植を行っている。

ASPチームは、1名の小児感染症科医と2名の小児感染症専門薬剤師からなる。

毎日、医師1名と薬剤師1名が、すべての抗微生物薬の処方オーダーを確認する。年間18000件の処方があり、1800件に介入する。

細菌検査部門、感染管理部門、IDチームとの会議を毎日行う。

その後、ASPチームが全病院内をラウンドする。特定の患者に対する懸念を伝えたり、ASPのレビューで問題のあった症例などを確認。

ケアチーム(主治医)が提案を受け入れる率は高い。

 

https://academic.oup.com/cid/article-abstract/doi/10.1093/cid/ciz650/5581529/?redirectedFrom=fulltext