小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

インフルエンザの予防は「まず手洗い・マスク」ではない

Effectiveness of personal protective measures in reducing pandemic influenza transmission: A systematic review and meta-analysis Epidemics. 2017;20:1 手洗いとマスク着用はインフルエンザの予防として有効か? 2009年のパンデミックインフルエンザ…

抗菌薬が殺菌性か静菌性は大して意味がない

Busting the Myth of “Static vs Cidal”: A Systemic Literature Review Clin Infect Dis. 2018;66:1470 殺菌性抗菌薬(bacterriocidal)は静菌性抗菌薬(bacteriostatic)よりも治療効果が高い考えられがちである。1985年以降に発表された56のRCT研究の結果をレ…

イチゴ舌についての考察

The strawberry tongue: What, how and where? Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2018;84:500 イチゴ舌について、ここまで濃厚に語った論文があったであろうか(いいや無い)。 (インドらしい?)熱くて濃い論文です。 以下が要約です (1)イチゴ舌と…

Nuss法漏斗胸手技研究会で手術部位感染症に関して講演しました

Nuss法漏斗胸術後の発熱と感染症に関して講演をさせていただきました。 講演資料の一部を公開させていただきます。 drive.google.com

抗菌薬 choosing wisely (講演資料の一部)

講演の資料の一部を公開させていただきます。 今回は、AMRの現状と抗菌薬の使い方の原則の他に、 多職種(看護師、薬剤師、検査技師)がどのように抗菌薬適正使用に関われるかについて、お話をさせていただきました。 drive.google.com

マイコプラズマ感染症では、ミノサイクリンは最強?トスフロキサシンは微妙…

今日もマイコプラズマ関連です。 【要点】 ・マクロライドに感受性のあるマイコプラズマ感染では、どの抗菌薬も有効 ・マクロライド耐性マイコプラズマ感染では、ミノサイクリンが有効だが、トスフロキサシンは微妙(マクロライドと差がない) Therapeutic e…

マイコプラズマによる多形滲出性紅斑(EM)は非典型的で、全身に広がることが多く、粘膜病変の数が多い。

Clinical and histologic features of Mycoplasma pneumoniae-related erythema multiforme: A single-center series of 33 cases compared with 100 cases induced by other causes J Am Acad Dermatol. 2018;79:110 マイコプラズマ感染による多形滲出性紅…

日本のマクロライド耐性マイコプラズマは減少傾向

Macrolide-Resistant Mycoplasma pneumoniae Infection, Japan, 2008-2015 Tanaka T, et al. Emerg Infect Dis. 2017;23(10):1703 日本におけるマイコプラズマのマクロライド耐性の傾向を分析した研究です。 2012年には、全国で81.6%がマクロライド耐性でし…

悪寒戦慄の有無により菌血症のリスクが変わる

The degree of chills for risk of bacteremia in acute febrile illness. Am J Med. 2005;118:1417. 新しい論文ではないですが、有名な論文です。 症状から菌血症のリスクをこれだけ見積もれる。 もはや伝説と言って良い、悪寒戦慄と菌血症の関係の論文。 …

新生児期の消化管手術は、非IgE依存性の食物アレルギー発症のリスクが高まる

Neonates undergoing gastrointestinal surgery have a higher incidence of non-IgE-mediated gastrointestinal food allergies Pediatr Surg Int. 2018;34:1009. 新生児期の消化管手術は、非IgE依存性の食物アレルギー発症のリスクが高まる 新生児期に消化…

皮疹(手足の落屑)・肝脾腫のある敗血症では先天梅毒を疑う

新生児の先天梅毒と他の細菌による敗血症は臨床像がかなり異なる Differences between congenital-syphilis presenting as sepsis and neonatal sepsis A case-control study Medicine (Baltimore). 2019;98(44):e17744. 新生児の先天梅毒は、敗血症として発…

遂に出ました。小児の化学療法・造血幹細胞移植における抗菌薬予防投与ガイドライン(IDSA)

Guideline for Antibacterial Prophylaxis Administration in Pediatric Cancer and Hematopoietic Stem Cell Transplantation IDSAから小児の悪性腫瘍と造血幹細胞移植に関する、抗菌薬予防投与のガイドラインのドラフト版が出ました。 推奨の概略です (1…

小児マイコプラズマ肺炎の診断は、年齢・長引く発熱・気道症状・プロカルシトニン低値が特徴

Improved diagnostics help to identify clinical features and biomarkers that predict Mycoplasma pneumoniae community-acquired pneumonia in children Clin Infect Dis. 2019 Oct 26. pii: ciz1059. doi: 10.1093/cid/ciz1059. [Epub ahead of print] …