小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

心筋炎の診断はcardiac MR (CMR)が有効

Cardiovascular magnetic resonance techniques and findings in children with myocarditis: a multicenter retrospective study
J Cardiovasc Magn Reson. 2015;17:96.
急性心筋炎は、ウイルス感染が原因となることが多いのですが、臨床症状や検査所見が非特異的で診断が難しいです。確定診断である心筋生検も侵襲が高く、急性期には行いにくく、非常に厄介な病気です。
小児の急性心筋炎の診断で心臓MRI(CMR)が有効であるとの報告です。成人の世界では当たり前なんでしょうか?
T2強調像で高信号(骨格筋シグナルの2倍以上)→浮腫
T1強調像でガドリニウムの早期造影所見(EGE)→うっ血とcapillary leak
Gd晩期造影(LGE)→不可逆的心筋障害
を示唆するようです。
 小児の心筋炎患者143例のCMRを実施した検討です。
異常所見が見られる割合は、LGE 81%, T2強調 74%, EGE 55%で、CMRで異常が見られる割合は82%(つまり感度82%)でした。
ただし、患者層はLV機能正常が55%、循環作動薬使用25%、呼吸補助12%と、心筋炎の中でも軽症例が多い印象です。
本当に重症ならMRIに入ることすら難しいという背景があるのだと思います。
かなり有効な検査と思われるので、患者の状況が許せば検討して良いと思われます。(Uptodateでも記載あり)

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