小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

地域で破棄された針で針刺しをした時の対応(Redbook要約)

公共の場所に捨てられた皮下注射針や注射器との接触や負傷では
血液媒介感染症HIVHBVHCV)の感染リスクと破傷風のリスクを考える必要がある
 
274名の地域で針刺した小児を19年間フォローした研究では、抗体の陽転化なし(Pediatrics. 2008;122:e487)
 
破傷風と創部処置
 必要な創部の洗浄・処置を行う。破傷風ワクチンが必要な回数接種できていなければ、追加接種と破傷風免疫グロブリンを投与する。
 
 室温では環境表面で少なくとも7日間は生存する。
感染源がHBs抗原陽性と分かっているなら、ワクチン未接種者は、B型肝炎免疫グロブリン(HBIG)とHBVワクチンを可能な限り早く接種する。ワクチン接種途中の場合には、HBIGを受け、ワクチンはスケジュール通りに接種。
 感染源がHBs抗原不明のときには、ワクチン未接種の子供はワクチンを受ける。(HBIGについてはコメントなし)
 
HIV
 感染の可能性は極めて低い。HIVは乾燥に弱い。まれな状況(新鮮血が付着した太い針など)では、子供のHIV検査を行う。受傷時、4,6,12週でフォローする。PEPについては専門家に相談する(米国公衆衛生局からはどうするべきか推奨はない)。副作用が有るため、症例ごとの検討。稀では有るが、針の使用者がHIVは陽性と分かったら、PEPを開始するべきである。一部の専門家は針に目に見える血液が付着していたら、PEPを勧める。PEPをやると決めたら、曝露後72時間以内に開始し、28日間継続する。
 注射針に付いた血液でHIV検査はしない。
 
 環境中に16−23時間生存する。捨てられた針からの感染リスクは低いと考えられている。HCV陽性のリスクが高い or HCV陽性と分かっていないなら、HCV検査は勧めない。