小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

アルボウイルス、例外はどれ?

アルボウイルスとは、節足動物媒介ウイルス arthropodborne viruses のことで、100種類以上のウイルスがヒトに感染することが知られています。 節足動物とは、蚊などのことです。アルボウイルスは、蚊、ダニ、サシチョウバエ、ヌカカなどがヒトを刺すことで…

アフガン難民の子供の感染症チェックしてくださいって言われたら…

" data-en-clipboard="true"> アフガニスタンから出国したスタッフが日本に到着されました。アフガニスタン人の殆どは、現地でずっと過ごしてきているので、感染症のチェックは重要になります。日本では非常に珍しい感染症の場合、診断も難しいと思います。 …

細胞内寄生菌のまとめ

細胞内寄生菌は、人間に感染すると、人間の細胞内に寄生して、免疫応答から逃れようとします。そのため、これらの菌に対する防御には、細胞性免疫が重要です。 細胞内寄生する菌についてまとめました。 (資料によりobligateかfaculativeが違うものもあった…

小児は無症候性にClostridioides difficileを保菌する

" data-en-clipboard="true"> Clostridioides difficileは、偽膜性腸炎・CDIの原因となる細菌です。抗菌薬を投与すると、腸管内細菌叢が乱され、毒素を産生するC. difficileが腸管内に増加します。その結果、下痢・発熱・イレウスなどの症状を起こし、重症な…

梅毒は性感染症とは限らない

" data-en-clipboard="true"> 梅毒は、性感染症(STI)の代表的な疾患の一つです。梅毒感染した妊婦から出生した先天梅毒の症例も小児では経験します。梅毒は、皮膚や粘膜に病変を作るので、性的接触以外でも、病変部に接する機会があれば感染する可能性があ…

小児の新型コロナ後遺症(long COVID)イランからの報告

新型コロナウイルス感染後も様々な症状が長く続くケースが報告されています。Long COVIDと言われる病態ですが、高齢・肥満・女性・発症時の症状が5つ以上あるといった人で起きやすことがわかっています。(忽那先生のYahoo!ニュース) news.yahoo.co.jp 小児…

小児のカンジダ血症について知っておくべきこと

" data-en-clipboard="true"> カンジダ血症は、一般小児科をやっているとあまり遭遇することはありませんが、基礎疾患を有する小児や重症の小児を診療している施設では、比較的よく経験します。 " data-en-clipboard="true"> 血培からカンジダが生えたとき、…

黄色ブドウ球菌菌血症では血培2回陰性を確認したら十分(小児)

" data-en-clipboard="true"> 以前、成人の感染症を主に診療していたとき、黄色ブドウ球菌菌血症(SAB)を多く経験しました。程度の差はあれ、どの患者さんも重症で、菌血症がなかなか解消できない(持続菌血症の)患者さんも多く、亡くなられた方もいらっし…

COVID-19罹患後の手術は7週目以降に

" data-en-clipboard="true"> COVID-19の急性期に、外科手術をすると予後が悪くなるのは、分かっていましたが、どのくらい空ければ安全かというのは、なかなか判断が難しいです。 日本麻酔科学会より、提言が出され、8月31日に更新されました。 「新型コロナ…

親が亡くなった子供も新型コロナの被害者

昨日、NHKニュースで、父親がCOVID-19で亡くなり、母もICUで人工呼吸器を装着され重症になった例が紹介されていました。デルタ株の蔓延により、若年層の患者数が急増し、子育て世代の重症化・死亡が増加しています。 残された子供は、COVID-19で亡くなること…

パラインフルエンザウイルスへの感染対策

" data-en-clipboard="true">はじめに " data-en-clipboard="true"> パラインフルエンザウイルス(PIV)は、いわゆる感冒の原因となるウイルスですが、小児に感染するとクループ症候群を引き起こしたり、気管支炎・肺炎などの下気道感染症を起こすこともあり…

建物の入り口での体温測定は意味があるのか?

" data-en-clipboard="true"> COVID-19の流行に伴い、いろいろな場所で、非接触式の体温測定がされるようになりました。病院はもちろん、デパート、図書館、レストラン等。体温測定、手指消毒が、建物に入るための儀式となっています。 " data-en-clipboard=…

新生児の虫垂炎について

虫垂炎(いわゆるアッペ)は、小児科ではよく見る病気ですが、発症年齢の分布が特徴的です。思春期や学童期に多く、年少児にはまれ、新生児では「極めてまれ」な病気です。 その理由は、虫垂の形状が閉塞しにくく、炎症を起こしにくい。ミルクがメインの食事…

胆道閉鎖症術後の胆管炎の特徴

小児では、胆管炎はまれな疾患です。しかし、例外として、胆道閉鎖症術後(葛西手術の術後)と肝移植後は、胆管炎のリスクが高くなります。 また、胆道閉鎖症術後では、胆管炎を繰り返すと、肝移植が必要となるリスクが増加するため、なんとか、胆管炎を避け…

ファイザーワクチンの小児 (12−15歳)への効果と安全性

新型コロナウイルスに感染した小児が重症化することは極めてまれです。MIS-Cなど重症化例が注目されますが、基本的に、小児のコロナは風邪です。高齢者へのワクチン接種が進みましたが、集団免疫を獲得し、新型コロナウイルスの制圧するには、人口のなるべく…

乳児の項部硬直(若手小児科医必見!)

" data-en-clipboard="true"> 現在、日本では、肺炎球菌とHibワクチンが定期接種化され、細菌性髄膜炎が劇的に減少しました。その事自体は、良いことですが、若手小児科医の中には、細菌性髄膜炎を経験することなく、小児科専門医となることもあります。ビデ…

カバ咬傷は、もはや動物咬傷のレベルではない

以前、亀田総合病院の「咬傷・外傷後の抗菌薬」の改定作業を行いました。 (臨床ガイドライン | 亀田総合病院 の中にあります) 日本だと、イヌ・ネコ・ヒトの咬傷が多いのですが、世界は広いです。 カバは、可愛らしい見た目によらず、獰猛な動物で、人が襲…

妊娠中の新型コロナワクチンについて

妊娠中のため、新型コロナワクチン接種を躊躇されている方も多くいらっしゃると思います。 厚生労働省からは、下記のような情報提供があります。妊娠中もワクチンの接種を勧めています。これは、妊娠後期にCOVID-19になると重症化するリスクが高く、早産や妊…

新型コロナウイルスワクチンと授乳について

" data-en-clipboard="true"> 新型コロナウイルスワクチン(ファイザーとモデルナ)は、mRNAワクチンという新しい仕組みのワクチンで、絶大な効果をもたらします。一方、新技術であるがゆえ、妊娠中や授乳中の女性が、接種に不安を感じられるのも、当然だと…

日本の急性脳炎・脳症の予後因子

" data-en-clipboard="true"> 日本のDPCデータを使った小児の急性脳炎・脳症の予後不良因子の検討です。 " data-en-clipboard="true">乳児のインフルエンザ脳症というのが悪いパターンだと思っていましたが、むしろインフルエンザウイルスと単純ヘルペスウイ…

無殺菌乳が原因となるアウトブレイク

Increased Outbreaks Associated with Nonpasteurized Milk, United States, 2007–2012 Emerg Infect Dis. 2015; 21: 119. 日本では非加熱殺菌乳(無殺菌乳)の販売や流通は禁止されています。米国で発生した無殺菌乳によるアウトブレイクの報告です。 2007-…

葛西手術後の予防的抗菌薬について

" data-en-clipboard="true"> 胆道閉鎖症は、まれですが、生後3ヶ月以内に葛西手術という手術が必要となる重篤な肝疾患です。葛西手術後には、胆管炎が頻発し、胆管炎を繰り返すと、肝臓の予後が悪くなり、肝移植が必要になるケースが増えます。 " data-en-c…

症状によるスクリーニングでは、新型コロナ感染者の45%は特定できない

" data-en-clipboard="true"> 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大により、院内感染が問題となっています。多くの病院が入院患者全員のスクリーニングに舵を切っています。当院でも、様々な経験を通じ、議論を経て、全入院患者へのスクリーニング…

保育園は、世代間の低学歴の再生産を緩和する

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 先日、エマニュエル・トッドの「大分断」を読んでいました。教育というと、誰でもどんな人でも受けることができ、教育により社会経済的に恵まれない家庭に産まれても、その格差を無くす方法と思っ…

小児の誤嚥性肺炎の特徴

小児の誤嚥性肺炎は、神経疾患などの基礎疾患がある子が大半です。いわゆる「寝たきり」のため自覚症状の問診は困難(ほぼ無理)で、他覚的所見も取ることが難しいです。そのため、ついつい長期間の抗菌薬投与が多くなります。 今回紹介するのは、米国の小児…

急性副鼻腔炎の合併症

AAPの副鼻腔炎のガイドラインのから、急性副鼻腔炎の合併症をまとめました。 ガイドライン本文はコチラです。 Clinical practice guideline for the diagnosis and management of acute bacterial sinusitis in children aged 1 to 18 years Pediatrics. 201…

先天性サイトメガロウイルス感染症の診断には乾燥ろ紙血が使える

先天性サイトメガロウイルス(cCMV)感染症は、胎児を妊娠中の母親がサイトメガロウイルス(CMV)に感染して、子宮内の胎児にCMVのが感染する疾患です。 脳内の石灰化や、聴力障害、運動発達遅延などの重篤な後遺症を残します。出生後に、治療をすることで聴力…

乳児発熱の血培陰性確認は48時間

" data-en-clipboard="true"> 乳児の発熱(特に乳児期早期発熱)では、血液培養の採取がよく行われますが、培養開始から何時間まで見たら、安心して「血培陰性です」と言えるでしょうか? " data-en-clipboard="true"> 小児病院で勤務していると、遅れて発育…

尿所見のある乳児期早期発熱に髄液検査は必要か?

生後3ヶ月未満の発熱は、小児科的emergencyですが、特にワクチン未接種の生後2ヶ月未満は、「細菌性髄膜炎は大丈夫かな?」とより注意深くなります。 とはいえ、この年齢層であっても、細菌性髄膜炎の頻度は低く、普通のウイルス感染、尿路感染症の方が熱源…

小児におけるセフトリアキソンの副作用

セフトリアキソンは、第3世代セファロスポリンとうカテゴリーの抗菌薬です。市中肺炎、尿路感染、髄膜炎など、幅広い感染症に使用できる抗菌薬で、かつ1日1回投与で済むので、感染症診療には非常に重要な薬剤です。 一方、新生児では核黄疸のリスクになる…