抗菌薬が、検出された細菌に有効かどうかの判定には、S(感性)、I(中間)、R(耐性)で行われます。最小発育阻止濃度(MIC)を測定する事で、そのMICが基準を超えているかで判断します。
感受性の判定基準として最も一般的なものは、米国のCLSIが定義するものです。ピペラシリン・タゾバクタムの腸内細菌科細菌(大腸菌など)に対する基準が変わりましたよという報告です。
より厳しくなる方向への改定なので、旧基準で「感性」と判定されたものが、感性でなくなる可能性がありますので注意してください。
Breaking Down the Breakpoints: Rationale for the 2022 Clinical and Laboratory Standards Institute Revised Piperacillin-Tazobactam Breakpoints Against Enterobacterales.
Clin Infect Dis. 2023 Nov 30;77(11):1585-1590.
ピペラシリン-タゾバクタム(PTZ)は、入院患者に投与される最も一般的な抗菌薬の一つである。グラム陰性、グラム陽性、および嫌気性菌に対する幅広い活性を持ち、多くの感染症や患者集団において臨床試験で有効性が証明されている。また、副作用プロファイルも優れており、PTZは有用な抗菌薬である。PTZの腸内細菌科細菌(Enterobacterales)に対する感受性基準(ブレイクポイント)は、1992年にFDAが承認した。その後30年間に、分子疫学の変化とPTZ感受性試験、集団薬物動態モデリングやモンテカルロ・シミュレーションなどの高度な手法から得られたPK/PDデータの増加、大規模臨床試験における安全情報などにより、Clinical Laboratory and Standards Institute(CLSI)は、エビデンスを見直し、腸内細菌科細菌に対するPTZブレイクポイントの改訂を行った。2022年のCLSI M100文書で感受性基準が以下のように改訂された。
「≤8/4μg/mL以下(感性)、16/4μg/mL(用量依存性感性)、32/4μg/mL以上(耐性)」
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最小発育阻止濃度(MIC) (μg/mL)
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年
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S
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I
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R
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1992
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≦16/4
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32/4-64/4
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≧128/4
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2022
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≦8/4
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16/4
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≧32/4
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