小児感染症科医のお勉強ノート

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小児の新型コロナウイルス感染症の約半分は共感染あり

中国からの報告です。小児のCOVID-19の患者を対象に、他の病原体が共感染しているかを検討した報告です。約半数の症例でマイコプラズマなどの共感染が認められ、一つの病原体が検出されたからと言って、新型コロナウイルスを否定できるものではないということがわかります。
 
Coinfection and Other Clinical Characteristics of COVID-19 in Children
Pediatrics. 2020;146:e20200961
 
背景および目的:新型コロナウイルスSARS-CoV-2)は、主に飛沫感染によって伝播する病原体である。これまでの報告のほとんどは、成人のCOVID-19患者に焦点を当てているため、小児患者に関するデータは限られている。本研究では、小児COVID-19患者の疫学的特徴と臨床的特徴を明らかにすることを目的とした。
 
方法:基本的な患者情報、疫学的な、臨床症状、検査所見、画像所見、治療、転帰、追跡調査の結果を含む、臨床検査でCOVID-19が確認された小児患者のデータを分析した。
 
結果:本研究には合計74人の小児COVID-19患者が含まれた。疫学的データが完全な症例68例のうち、65例(95.59%)は、家庭内で成人患者に接触した病歴があった。発症時の主な症状は咳(32.43%)と発熱(27.03%)であり,44人(59.46%)の患者では,咳嗽(32.43%)と発熱(27.03%)が主な症状であった.白血球数の異常は23例(31.08%)に認められ、リンパ球数の異常は10例(13.51%)に認められた。一般的な呼吸器病原体の核酸検査の結果、34人(45.95%)のうち、19人(51.35%)にSARS-CoV-2以外の病原体との共感染が認められた。便検体のリアルタイムPCR解析を行った小児は10例(13.51%)であり、そのうち8例はSARS-CoV-2 RNAが長期に検出された。
 
結論:小児COVID-19患者は成人患者とは異なる疫学的、臨床的、画像的特徴を示した。感染した小児の約半数からは、他の呼吸器病原体が検出された。小児患者では、回復期にSARS-CoV-2 RNAが便から長期に検出されることは珍しくない。
 
 
補足:共感染していた病原微生物は、マイコプラズマ19例、RSウイルス3例、EBウイルス3例、サイトメガロウイルス3例、インフルエンザウイルス1例であった。また、これまでの報告と同様に軽症例が多く、多くは家庭内で感染した成人から感染している。
 

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