小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

RSウイルス感染症が治療できる時代はもうすぐ

今年は、RSウイルスが熱いです。昨年から今年にかけて、コロナ後初めての大きな流行になっています。一方でシナジスの適応拡大、ベイフォータスの認可、妊婦用ワクチンアブリスボの導入など、RSウイルス感染症は予防できる疾患になってきました。そこに来て…

髄液細胞数が上昇しないエンテロウイルス髄膜炎

一般小児科では、細菌性髄膜炎の症例が減り、見る機会は非常に減りました。相対的に無菌性髄膜炎・ウイルス性髄膜炎の頻度が多くなります。FilmArrayが出てから、髄膜炎診療も変わってきた部分が多いと感じます。 亀田で研修していたときに、「髄液細胞数が…

生後40日未満の乳児のCOVID-19について

国内では、COVID-19の11波が落ち着きました。小児では重症例は少ないですが、新生児のCOVID-19の場合には慎重な対応が必要です。これまでの経験上、新生児が重症化しやすいという感じは受けなかったのですが、ベルギーから大規模な調査結果が出ました。 要点…

研修医にとって、感染症科が魅力的に見えないのは何故か?

「アメリカでは感染症科は儲からないから人気がないんだよ」と、米国帰りの先生が何度がおっしゃっていました。 でも、日本では、感染症科医の給与も心臓外科医の給与も、基本的に変わりません(残業代の差はありますが。にも関わらず、感染症科はあまり人気…

新生児の敗血症に血培嫌気ボトルは必要??

今年7月に、血液培養ボトルの出荷制限が通知されて、日本中の医療機関の感染症部門が騒然としました。血液培養は、重症感染症において必須の検査で、この検査は正しい感染症診療の基本になります。 そこで、血液培養を取らなくても良いケースを改めて見直し…