小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ニルセビマブはRSウイルス感染症予防に有効

今年からついに日本でも発売となったニルセビマブ(ベイフォータス)ですが、臨床現場からの効果を示すデータが続々と出てきています。既に、全出生児を対象に接種している地域もあり、RSウイルス感染症の疫学が変わりそうです。 Early Impact of Nirsevimab…

総合病院・大学病院にも小児感染症の専門家を!

先日、小児感染症の集まりで、全国の小児病院や大学病院での広域抗菌薬(カルバペネム系)の使用量が比較された資料をみました。 全般的には、小児病院では広域抗菌薬の使用量が少なく、大学病院で多い傾向がありました(入院している患者層の影響は大きいと…

RSウイルス感染における母親のリスク

今年も多くのRSウイルス感染の症例を経験しました。一般的には、早産児や基礎疾患があるお子さんが重症化しやすいのですが、特にリスクの無い赤ちゃんでも、呼吸不全まで至ることもあります。様々な予防手段が出ているものの、重症化に関して、母親のリスク…

AmpC産生菌の治療薬と治療失敗のリスク

AmpC産生菌は、治療中にAmpC過剰産生を始める(脱抑制)ケースがあります。主な菌種としては、Enterobacterなどで、治療中に3世代セフェムなどの抗菌薬が効かなくなってしまうと、治療失敗に繋がります。 前任地の先生が調べてくれたまとめがあります。実際…

AIを使って胎児の妊娠週数を推定する

初期研修のとき、産科で胎児エコーをさせていただきましたが、計測が上手にできず、指導医の計測値とずいぶんズレがあった事を思い出します。妊娠週数を決定するエコーは、経験値と技術が必要です。また、そもそも超音波が利用しにくい途上国などの地域では…

人工涙液によるカルバペネマーゼ産生菌緑膿菌のアウトブレイク

人工涙液(点眼薬)に、カルバペネマーゼ産生緑膿菌が混入していたために、アウトブレイクが発生した報告になります。7%が死亡、22%が眼球摘出となっており、感染症を発症すると予後が悪いです。(おそらく販売数は多いので、感染症を発症してしまう割合は…