国内では、COVID-19の11波が落ち着きました。小児では重症例は少ないですが、新生児のCOVID-19の場合には慎重な対応が必要です。これまでの経験上、新生児が重症化しやすいという感じは受けなかったのですが、ベルギーから大規模な調査結果が出ました。
要点
・生後40日未満のCOVID-19の症状は、発熱>気道症状>消化器症状が多い。
・酸素投与以上が必要となるのは、14.2%であるが、人工呼吸器管理を要する例は極めて稀。
SARS-CoV-2 Infection in Children Less Than Forty Days Hospitalized in Belgium Between 2020 and 2022.
2020年から2022年にベルギーで入院した生後40日未満の小児におけるSARS-CoV-2感染
Pediatr Infect Dis J. 2024 Sep 1;43(9):e307-e309.
背景
乳児におけるCOVID-19感染についてのデータは限られている。特に生後40日未満の乳児に関する情報は少ない。これまでに重症例や呼吸サポートが必要なケースが報告されているが、その頻度や詳細は明確でない。本研究の目的は、ベルギー国内で入院した生後40日未満の乳児におけるCOVID-19の重症度と、ウイルス変異株(Alpha、Delta、Omicron)の影響を評価することである。
方法
2020年3月1日から2022年12月31日までの間に、ベルギー国内の21病院でSARS-CoV-2のPCR検査が陽性となり、入院した生後40日未満の乳児を対象とした後ろ向き観察研究である。対象となった乳児のうち、無症状またはCOVID-19以外の理由で入院した乳児は除外された。
結果
期間中、SARS-CoV-2に感染した生後40日未満の乳児391名のうち、365名が対象となった。58.1%が男児で、10.1%に合併症があった。主要な症状は、発熱(87.4%)、呼吸器症状(72.3%)、消化器症状(21.6%)であった。全体の14.2%(52名)が呼吸サポートを必要とし、そのうち25名が低流量酸素、16名が高流量酸素、9名が非侵襲的陽圧換気、2名が侵襲的陽圧換気を受けた。また、4.7%(17名)がICUに入室したが、死亡例は報告されていない。入院期間の中央値は3日(四分位範囲2~4日)であった。オミクロン株の流行期間中の入院者が多かったものの、AlphaやDelta株と比較して重症度に差は見られなかった。
結論
生後40日未満の乳児におけるSARS-CoV-2感染は一般的に軽症であり、呼吸サポートが必要なケースはあったものの、死亡例は確認されなかった。ウイルス変異株によるの重症度に大きな違いはなかった。