小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

2023-01-01から1年間の記事一覧

小児AMLの好中球減少に対してセフェピム予防投与

" data-en-clipboard="true"> 小児白血病治療中の好中球減少性発熱(FN)は、大きな問題で、血流感染症の死亡率は高いです。フルオロキノロンの予防投与が、小児のAMLや再発ALLで強度の化学療法中に推奨されますが、国内では、キノロン系抗菌薬が小児禁忌(一…

米国でも処方箋なしの抗菌薬使用が多い

" data-en-clipboard="true"> 抗菌薬の適正使用は、薬剤耐性菌対策の重要な手段です。しかし、途上国を中心に、市中の薬局で抗菌薬が処方箋なしに買えてしまう現状があります。先進国の多くは、抗菌薬を手に入れるには、処方箋が必要です。 " data-en-clipbo…

感染性心内膜炎の修正Duke基準が改訂 その2

" data-en-clipboard="true"> 感染性心内膜炎(IE)のclinical criteria(臨床的診断)ですが、実際は、こちらの診断基準を当てはめて、IEとして治療するかを決めることが圧倒的に多いです。 " data-en-clipboard="true"> 復習です。確定診断は「大基準2個」…

感染性心内膜炎の修正Duke基準が改訂 その1

感染性心内膜炎(IE)の診断基準は、修正Duke基準が標準的に使用されてきました。 少し前ですが、2023年5月に、修正Duke基準が改定され、2023 Duke-ISCVID criteriaになりました。変更点などをまとめました。 IEは、見たことがないと、なかなか掴みどころがな…

新生児の化膿性耳下腺炎

" data-en-clipboard="true"> 耳下腺炎の代表は、ムンプス(いわゆるおたふく風邪)です。最近は、ワクチンの普及で見る機会がすごく減りました。ムンプス以外には、化膿性耳下腺炎がありますが、小児では稀で、新生児の化膿性耳下腺炎もまれです。 " data-e…

" data-en-clipboard="true"> 日本だと、初回の腎盂腎炎で入院した小児には、基本的に、腎臓超音波検査を実施して、尿路異常を確認することがほとんどだと思います。結構な割合で、異常が見つかるので、検査するのが当たり前と思っていましたが、世界ではそ…

小児のLong-COVID総説

最近は、少し減った気がしますが、Long-COVIDは、コロナ感染後の非常に困る症状です。あまり特徴的な症状に乏しく、起立性調節障害や偏頭痛など、他の病気と似ているため、明確に区別することは難しいです。しかし、明らかにコロナ感染後から体調が戻らない…

小児尿路感染の治療期間は短くできるか?

" data-en-clipboard="true"> 小児の尿路感染症(UTI)は、コモンな疾患ですが、最適な治療期間については、よく分かっていません。成人では、なるべく短期治療を目指して、色々な研究が行われていますが、小児についてはエビデンスが少ないのが現状です。 " …

トランスクリプトーム解析を用いてMIS-Cを診断する

" data-en-clipboard="true"> 小児多系統炎症性症候群(MIS-C)は、コロナ後の合併症として知られています。川崎病に似た症状が見られますが、相違点も多く、別の病態と考えられています。診断基準も、日本小児科学会から提唱されていますが(chrome-extensio…

小児のボカウイルス気道感染の実態

" data-en-clipboard="true"> ボカウイルスは、小児に気道感染を起こすウイルスです。迅速検査などは無いので、一般臨床では検出されることは殆どないウイルスです。私も、成育医療センターにいた1ヶ月でたまたま1例見ました。 " data-en-clipboard="true"> …

入院中のRSウイルス感染症は呼吸サポートが必要となる事が多い

" data-en-clipboard="true"> RSウイルスは、感染力の強い呼吸器ウイルスで、乳児や基礎疾患のある小児が罹患すると重症化することがあります。残念なことに、流行期には入院中に感染することもあります。この報告は、入院中に感染したRSV感染症(HA-RSV)の…

初回の尿路感染症でも、腎尿路の超音波検査はやったほうが良さそう

" data-en-clipboard="true">小児の尿路感染症を診断したときには、尿路の先天奇形が無いかを確認することが必要です。今回、メタアナリシスで、尿路異常の頻度を分析した報告が出ました。 " data-en-clipboard="true">要点・初発の有熱性尿路感染症では、約…

新生児・乳児のCOVID-19

" data-en-clipboard="true"> 新生児や乳児のCOVID-19はリスクが高いと考えられていますが、実際には、それほど悪くないようです。自験例でも、新生児・乳児での悪化例は、ほとんど経験がないです。 " data-en-clipboard="true"> アラブ首長国連邦からの報告…

学校でマスクは不要か?

本日は、論文とは関係無しです。 子供向けの記事にしたいと、新聞社の取材があるので、私の意見です。 子供のマスクについての現状 ・2023年4月1日から、学校現場では原則マスクは不要になった。 ・現在も、着用している生徒は多い。 (脱マスクの道半ばって…

先天性心疾患(CHD)手術で広域抗菌薬を使用してもメリットはない

" data-en-clipboard="true"> 小児の先天性心疾患の手術は、非常に高度な技術が必要です。複雑な心疾患では、術後感染のリスクも高く、長期の抗菌薬投与や広域抗菌薬投与がされがちです。ガイドラインには、狭域抗菌薬を術後24時間以内に終了と記載があるも…

オミクロン株に対する小児(5-11歳)ファイザーワクチンの効果

" data-en-clipboard="true"> 今年から、コロナワクチンは、毎年の接種が推奨される見込みです。小児の接種率は、相変わらず向上せず、残念ながら、オミクロン株流行以降、コロナにより亡くなられたお子さんの報道が相次ぎました。 " data-en-clipboard="tru…

最近の日本の髄膜炎の疫学

" data-en-clipboard="true"> 私が、小児科医になった頃と、大きく疫学が変わったのは、細菌性髄膜炎です。初期研修・後期研修の頃は、肺炎球菌とヒブワクチンが、定期接種化されておらず、肺炎球菌とヒブ髄膜炎は、たくさんいました。(ついでに、ヒブによ…

MRSAの鼻腔監視培養は意味があるか?

" data-en-clipboard="true"> ICUなど重症者が多い病棟では、MRSAの鼻腔監視培養を行うことがあります。細菌培養検査は、「感染症が疑われる時に、疑われる場所から採取」するのが原則ですが、監視培養は、一律に検査して、どの患者が鼻腔内にMRSA保菌をして…

小児のペニシリンアレルギー表示はデメリットも多い

ある薬物にアレルギーがある患者さんに対して、その薬物を投与しないことは、医療における常識ですが、「アレルギーがある」こと自体が間違っていることがあります。 例えば、アルコールアレルギーと書いてあっても、「アルコール綿でゴシゴシ擦ったときに少…

小児の軽症肺炎の改善指標は何を見たら良いか?

" data-en-clipboard="true"> 市中肺炎(CAP)は、世界では幼児の主要な死因です。米国では、小児1万人あたり約15.7人が入院し、小児入院の2番目に多い理由となっています。日本でも、同様で、ほとんどが外来管理したり、入院しても比較的早期に改善しますが…

乳幼児の熱源不明の発熱で、考えるウイルスは?

" data-en-clipboard="true"> 少し古い論文の紹介です。乳幼児の発熱はとても多いのですが、診断がつかないことはよくあります。外来では、「何かのウイルス性の病気(いわゆる風邪)ですよ」としょっちゅう説明しますし、具合が悪く入院になっても、細菌検…

小児副鼻腔炎の起炎菌は?

副鼻腔炎と中耳炎は、小児科でもよく見る感染症です。しかし、どちらも閉じた空間(鼓室と副鼻腔)の感染症であり、原因の微生物へのアプローチが難しいのが現状です。 高知の耳鼻科開業医の先生が、小児の上顎洞炎(一般的な副鼻腔炎)の原因微生物を報告さ…

妊娠中のRSウイルスワクチンが、出生児の重症感染を減らす

" data-en-clipboard="true"> 乳児にとってRSウイルス(RSV)感染症は、大変な病気です。呼吸状態が悪化して入院となったり、まれですが脳炎などの重篤な合併症もあります。 私も小児科医になりたてのときに、受け持った赤ちゃんが、ひどい無呼吸発作になり、…

小児へのダプトマイシンの使用

ダプトマイシンは、小児には馴染みの薄い抗菌薬です。MRSAなどのGram陽性菌の治療に使用します。MRSAの難治性菌血症などが小児では少ないこともありますが、安全性や正確な投与量に関して、記載が不十分なことも理由と思います。 今回、日本の小児患者に使用…

小児の好酸球増多を見たら…

" data-en-clipboard="true"> 好酸球は、アレルギー疾患や寄生虫疾患で上昇することが知られています。しかし、日本では小児の寄生虫を見ることは少なく、ほとんどがアレルギー疾患での上昇だと思います。 " data-en-clipboard="true"> その他の原因について…

小児の新型コロナによる劇症型脳浮腫

" data-en-clipboard="true"> 日本国内でも、新型コロナに脳症を合併して死亡する例が報告されています。まだ、まとまった報告はありませんが、台湾から6例のケースシリーズが報告されました。 " data-en-clipboard="true"> 台湾では、新型コロナで亡くなっ…

小児の肺炎において、誘発喀痰の意味は乏しい

小児の肺炎では、良い喀痰を採取することは難しいです。成人では、肺炎が疑われれば、誘発喀痰を採取します。通常3%くらいの高張食塩水をネブライザーで吸入して、咳き込んだ時に出た喀痰を採取します。うまく採取できると、喀痰中にわんさか白血球と肺炎球…

菊池病のリンパ節はどこが腫れる?

菊池病は、日本では日本では比較的多い病気です。発熱と頸部リンパ節腫脹が特徴的です。小児では、時々、不明熱の原因として認められます。以前、菊池病のまとめを書きましので、読んでいただけると幸いです。 pediatric-infection.info 菊池病は、典型的に…

ヒルシュスプルング病は尿路異常に注意

" data-en-clipboard="true"> ヒルシュスプルング病は、腸管の神経節の先天的な欠如により便秘や腸閉塞をきたす疾患です。多くは新生児期に診断されますが、軽症では診断が遅れることがあります。ヒルシュスプルング病の患者さんには、尿路異常が多いという…

カンジダ膿胸について

" data-en-clipboard="true"> 膿胸は、もともと治療が難しい病気ですが、カンジダによる膿胸は数も少なく、非常に難治性です。小児にはもちろん少ないので、成人のデータを調べてみました。台湾からのデータです。 " data-en-clipboard="true"> 膿胸の成立過…