RSウイルスは、感染力の強い呼吸器ウイルスで、乳児や基礎疾患のある小児が罹患すると重症化することがあります。残念なことに、流行期には入院中に感染することもあります。この報告は、入院中に感染したRSV感染症(HA-RSV)の米国でのまとめです。
Healthcare-Associated Respiratory Syncytial Virus in Children’s Hospitals
J Pediatric Infect Dis Soc. 2023 May 5;12(5):265–72.
背景
小児における医療関連RSウイルス(HA-RSV)感染症のアウトブレイクについてはよく知られているが、散発的なHA-RSV感染症については、あまり知られていない。我々は、散発性HA-RSV感染症に関連する疫学と臨床転帰を評価した。
方法
2016-2017年、2017-2018年、2018-2019年の10~4月に米国内の6つの小児病院でHA-RSV感染症を発症した18歳以下の小児を後方視的に検討した。2020年10月-2021年11月まで前向きに検討した。呼吸サポートの追加、小児集中治療室(PICU)への入室、院内死亡など、HA-RSV感染症に関連するアウトカムを評価した。呼吸サポートの追加に関連する患者の特徴および併存疾患について評価した。
結果
HA-RSVを発症した122名の小児(中央値16.0ヶ月[IQR 6, 60ヶ月])を対象とした。HA-RSV感染症の発症の中央値は、入院14日目(IQR 7, 34日)であった。全体として、78人(63.9%)の症例が、2つ以上の合併症(基礎疾患)を有していた。心臓・消化器・神経・神経筋・呼吸器・未熟児・新生児に関する合併症が多かった。55名(45.1%)の症例が呼吸サポートの追加を必要とし、18名(14.8%)がPICUに入室した。5人(4.1%)が入院中に死亡した。多変量解析では、呼吸器合併症(aOR:3.36 [CI95 1.41, 8.01])の存在は、呼吸サポートの追加と関連していた。
(本文中の表では、心疾患34%、消化器疾患33%、神経筋疾患32%、呼吸器疾患30%、未熟児・新生児30%など元々RSVが重症化しやすい人が感染していることがわかります。)
結論
「HA-RSV感染症の定義」
新規の呼吸器症状や、元々あった呼吸器症状が悪化し、入院後72時間以上経過してor 退院後48時間以内に再入院となりPCRでRSウイルスが陽性になった症例