感染性心内膜炎(IE)の診断基準は、修正Duke基準が標準的に使用されてきました。
少し前ですが、2023年5月に、修正Duke基準が改定され、2023 Duke-ISCVID criteriaになりました。変更点などをまとめました。
IEは、見たことがないと、なかなか掴みどころがない病気かもしれません。The 感染性心内膜炎という、激しい症例はもちろん診断も容易です(治療は難しいです!)が、IEには、「そこまで激しくないんだけど、Dukeを満たしてしまう」という症例が多くあります。感染症科になると、このグレイゾーンのIEをしっかり診断して治療するようになるので、見かけ上、その病院のIEの症例数が増えることがあります。
今回の修正Duke基準の改訂は、IEの診断そのものに関わるので、丁寧に見てゆきます。
本日は、その1です。
Definitive IE:IEを確定診断するには、2つの方法があります。1つ目がpathologic criteria(病理学的基準)で、剖検例や手術で、病巣を摘出し、病理学的にIEを証明します。もう一つが、clinical criteria (臨床的基準)で、各種の症状や検査結果を組み合わせて、IEと診断します。
A. 病理学的基準 Pathologic criteria
(1) 活動性心内膜炎の臨床徴候がある状況下で微生物が検体から同定されること。
検体は、疣贅、心臓組織、摘出された人工弁または縫合リング、上行大動脈グラフト(弁病変を伴う)、血管内心臓植込み型電子機器(CIED)、動脈塞栓を指す。微生物は、培養、染色、免疫学的手法、PCR、その他の核酸増幅検査(16S/18S rRNA解析など)、メタゲノム解析、in situ hybridization。(これまでより同定の手法の範囲が広がった)
検体は、疣贅、心臓組織、摘出された人工弁または縫合リング、上行大動脈グラフト(弁病変を伴う)、血管内心臓植込み型電子機器(CIED)、動脈塞栓を指す。微生物は、培養、染色、免疫学的手法、PCR、その他の核酸増幅検査(16S/18S rRNA解析など)、メタゲノム解析、in situ hybridization。(これまでより同定の手法の範囲が広がった)
または
(2) 活動性心内膜炎(急性、亜急性/慢性を問わない)の病理学的所見を認めること。検体は、疣贅、心臓組織、摘出された人工弁または縫合リング、上行大動脈グラフトから(弁病変を伴う)、CIED、動脈塞栓。活動性心内膜炎の所見とは、疣贅、弁尖の破壊、弁周囲の組織に炎症細胞浸潤や炎症後の再生所見を認める。
B. 臨床的基準 Clinical criteria
(1) 2つの大基準を満たす
または
(2) 1つの大基準と3つの小基準を満たす
または
(3) 5つの小基準を満たす
(1)1つの大基準と1つの少基準を満たす
または
(2)3つの少基準を満たす
(1)代替診断がある (2)4日以内の抗菌薬治療にも関わらず再発していない