小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児のボカウイルス気道感染の実態

" data-en-clipboard="true"> ボカウイルスは、小児に気道感染を起こすウイルスです。迅速検査などは無いので、一般臨床では検出されることは殆どないウイルスです。私も、成育医療センターにいた1ヶ月でたまたま1例見ました。 " data-en-clipboard="true"> …

入院中のRSウイルス感染症は呼吸サポートが必要となる事が多い

" data-en-clipboard="true"> RSウイルスは、感染力の強い呼吸器ウイルスで、乳児や基礎疾患のある小児が罹患すると重症化することがあります。残念なことに、流行期には入院中に感染することもあります。この報告は、入院中に感染したRSV感染症(HA-RSV)の…

初回の尿路感染症でも、腎尿路の超音波検査はやったほうが良さそう

" data-en-clipboard="true">小児の尿路感染症を診断したときには、尿路の先天奇形が無いかを確認することが必要です。今回、メタアナリシスで、尿路異常の頻度を分析した報告が出ました。 " data-en-clipboard="true">要点・初発の有熱性尿路感染症では、約…

新生児・乳児のCOVID-19

" data-en-clipboard="true"> 新生児や乳児のCOVID-19はリスクが高いと考えられていますが、実際には、それほど悪くないようです。自験例でも、新生児・乳児での悪化例は、ほとんど経験がないです。 " data-en-clipboard="true"> アラブ首長国連邦からの報告…

学校でマスクは不要か?

本日は、論文とは関係無しです。 子供向けの記事にしたいと、新聞社の取材があるので、私の意見です。 子供のマスクについての現状 ・2023年4月1日から、学校現場では原則マスクは不要になった。 ・現在も、着用している生徒は多い。 (脱マスクの道半ばって…

先天性心疾患(CHD)手術で広域抗菌薬を使用してもメリットはない

" data-en-clipboard="true"> 小児の先天性心疾患の手術は、非常に高度な技術が必要です。複雑な心疾患では、術後感染のリスクも高く、長期の抗菌薬投与や広域抗菌薬投与がされがちです。ガイドラインには、狭域抗菌薬を術後24時間以内に終了と記載があるも…

オミクロン株に対する小児(5-11歳)ファイザーワクチンの効果

" data-en-clipboard="true"> 今年から、コロナワクチンは、毎年の接種が推奨される見込みです。小児の接種率は、相変わらず向上せず、残念ながら、オミクロン株流行以降、コロナにより亡くなられたお子さんの報道が相次ぎました。 " data-en-clipboard="tru…

最近の日本の髄膜炎の疫学

" data-en-clipboard="true"> 私が、小児科医になった頃と、大きく疫学が変わったのは、細菌性髄膜炎です。初期研修・後期研修の頃は、肺炎球菌とヒブワクチンが、定期接種化されておらず、肺炎球菌とヒブ髄膜炎は、たくさんいました。(ついでに、ヒブによ…

MRSAの鼻腔監視培養は意味があるか?

" data-en-clipboard="true"> ICUなど重症者が多い病棟では、MRSAの鼻腔監視培養を行うことがあります。細菌培養検査は、「感染症が疑われる時に、疑われる場所から採取」するのが原則ですが、監視培養は、一律に検査して、どの患者が鼻腔内にMRSA保菌をして…

小児のペニシリンアレルギー表示はデメリットも多い

ある薬物にアレルギーがある患者さんに対して、その薬物を投与しないことは、医療における常識ですが、「アレルギーがある」こと自体が間違っていることがあります。 例えば、アルコールアレルギーと書いてあっても、「アルコール綿でゴシゴシ擦ったときに少…

小児の軽症肺炎の改善指標は何を見たら良いか?

" data-en-clipboard="true"> 市中肺炎(CAP)は、世界では幼児の主要な死因です。米国では、小児1万人あたり約15.7人が入院し、小児入院の2番目に多い理由となっています。日本でも、同様で、ほとんどが外来管理したり、入院しても比較的早期に改善しますが…

乳幼児の熱源不明の発熱で、考えるウイルスは?

" data-en-clipboard="true"> 少し古い論文の紹介です。乳幼児の発熱はとても多いのですが、診断がつかないことはよくあります。外来では、「何かのウイルス性の病気(いわゆる風邪)ですよ」としょっちゅう説明しますし、具合が悪く入院になっても、細菌検…

小児副鼻腔炎の起炎菌は?

副鼻腔炎と中耳炎は、小児科でもよく見る感染症です。しかし、どちらも閉じた空間(鼓室と副鼻腔)の感染症であり、原因の微生物へのアプローチが難しいのが現状です。 高知の耳鼻科開業医の先生が、小児の上顎洞炎(一般的な副鼻腔炎)の原因微生物を報告さ…

妊娠中のRSウイルスワクチンが、出生児の重症感染を減らす

" data-en-clipboard="true"> 乳児にとってRSウイルス(RSV)感染症は、大変な病気です。呼吸状態が悪化して入院となったり、まれですが脳炎などの重篤な合併症もあります。 私も小児科医になりたてのときに、受け持った赤ちゃんが、ひどい無呼吸発作になり、…

小児へのダプトマイシンの使用

ダプトマイシンは、小児には馴染みの薄い抗菌薬です。MRSAなどのGram陽性菌の治療に使用します。MRSAの難治性菌血症などが小児では少ないこともありますが、安全性や正確な投与量に関して、記載が不十分なことも理由と思います。 今回、日本の小児患者に使用…

小児の好酸球増多を見たら…

" data-en-clipboard="true"> 好酸球は、アレルギー疾患や寄生虫疾患で上昇することが知られています。しかし、日本では小児の寄生虫を見ることは少なく、ほとんどがアレルギー疾患での上昇だと思います。 " data-en-clipboard="true"> その他の原因について…

小児の新型コロナによる劇症型脳浮腫

" data-en-clipboard="true"> 日本国内でも、新型コロナに脳症を合併して死亡する例が報告されています。まだ、まとまった報告はありませんが、台湾から6例のケースシリーズが報告されました。 " data-en-clipboard="true"> 台湾では、新型コロナで亡くなっ…

小児の肺炎において、誘発喀痰の意味は乏しい

小児の肺炎では、良い喀痰を採取することは難しいです。成人では、肺炎が疑われれば、誘発喀痰を採取します。通常3%くらいの高張食塩水をネブライザーで吸入して、咳き込んだ時に出た喀痰を採取します。うまく採取できると、喀痰中にわんさか白血球と肺炎球…

菊池病のリンパ節はどこが腫れる?

菊池病は、日本では日本では比較的多い病気です。発熱と頸部リンパ節腫脹が特徴的です。小児では、時々、不明熱の原因として認められます。以前、菊池病のまとめを書きましので、読んでいただけると幸いです。 pediatric-infection.info 菊池病は、典型的に…

ヒルシュスプルング病は尿路異常に注意

" data-en-clipboard="true"> ヒルシュスプルング病は、腸管の神経節の先天的な欠如により便秘や腸閉塞をきたす疾患です。多くは新生児期に診断されますが、軽症では診断が遅れることがあります。ヒルシュスプルング病の患者さんには、尿路異常が多いという…

カンジダ膿胸について

" data-en-clipboard="true"> 膿胸は、もともと治療が難しい病気ですが、カンジダによる膿胸は数も少なく、非常に難治性です。小児にはもちろん少ないので、成人のデータを調べてみました。台湾からのデータです。 " data-en-clipboard="true"> 膿胸の成立過…

CRP上昇・白血球数正常の小児発熱

小児科で発熱者の診察をしていると、通常、白血球とCRPは同時に採血します。細菌感染では両方上昇、ウイルス感染では両方正常というパターンが多いですが、乖離することがあります。 白血球数高値・CRP正常は、細菌感染の発症早期、ストレス(嘔吐など)など…

感染症科医にとってCRPはthe elephant in the room?!

CRPは、日本の臨床現場で頻用されているにも関わらず、感染症のスタンダードな教科書ではあまり触れられることはなく、触れても非常に軽い扱いをされてきました。(例:感度も特異度も高くない検査である。) 確かに、医療現場で過度に用いられ、CRP値のみで…

気道感染を起こすウイルスの迅速検査キットの感度・特異度のまとめ

先日、SARS-CoV-2の迅速抗原検査キットの感度と特異度をまとめました。他の病原体に関してはどうなのか気になって、調べてみました。インフルエンザや溶連菌は、メタアナリシスがありましたが、その他のウイルスは報告が少なかったです。 日本からの報告も多…

コロナの抗原検査の精度はどのくらい?

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まり、PCR検査や抗原検査という検査が一般の方々に普及してきました。今ではドラッグストアでも購入でき、自宅で検査している人も多いと思います。 なんとなく「PCR検査が正確で、抗原検査はあまり正確ではない」…

小児の壊死性筋膜炎の特徴

" data-en-clipboard="true"> 壊死性筋膜炎は、小児では極めてまれな疾患です。そのため、まとまったデータは少なく、成人の教科書の記載が、しばしばそのまま引用されています。しかし、小児には小児の特徴があり、注意するべき点がいくつかあります。 " da…

クジラを食べてトキソプラズマ?!

トキソプラズマは、Toxoplasma gondiiという原虫が原因の感染症です。日本でも5−10%の人が抗体を持っています。特に妊娠中に罹患すると、胎児が先天性トキソプラズマ症になり、重い後遺症が残ることがあります。 終宿主はネコで、ネコの便などに排泄された…

ヨーロッパでの侵襲性A群溶連菌感染症の増加

2022年より、ヨーロッパ諸国で侵襲性A群溶連菌感染症の小児例の増加が報告されています。オランダからの報告です。 日本では、今の所、増加傾向は認められませんが、今後注意が必要です。 INCREASE IN INVASIVE GROUP A STREPTOCOCCAL INFECTIONS IN CHILDRE…

医学部生の髄膜炎菌保菌率は低い

" data-en-clipboard="true"> 髄膜炎菌は、髄膜炎や敗血症を起こすことがある細菌ですが、日本で見ることは非常に少ないです。とはいえ、宮崎県の高校の寮でアウトブレイクが起きたり、日本には無縁というわけではありません。特に、軍隊や学生寮など、多く…

新生児の腸腰筋膿瘍

" data-en-clipboard="true"> 腸腰筋膿瘍は、小児にはまれな病態です。成人では椎体炎が波及して腸腰筋膿瘍を形成することがあります。新生児の腸腰筋膿瘍となるとさらに稀で、ケースシリーズもなく、症例報告が中心です。 " data-en-clipboard="true"> 日本…