小児科で発熱者の診察をしていると、通常、白血球とCRPは同時に採血します。細菌感染では両方上昇、ウイルス感染では両方正常というパターンが多いですが、乖離することがあります。
Elevated C-Reactive Protein With Normal Leukocytes Count Among Children With Fever. Pediatrics. 2022 Dec 1;150(6):e2022057843.
doi: 10.1542/peds.2022-057843. PMID: 36416012.
はじめに
細菌感染では、CRPが上昇しているが、WBCが正常値であることはまれではない。発熱で救急外来(ED)を受診した小児患者において、WBC/CRPともに高値を示す小児とWBC正常/CRP上昇の小児を比較した。
方法
研究は、小児三次病院において実施された後方視的研究である。2017年1月から2020年2月までに、発熱でEDを受診した生後3か月から18歳の患者を対象とした。免疫不全者や白血球減少/リンパ球減少のある患者は除外した。CRPが15 mg/dL以上の全患者を解析対象とした。WBC上昇群(「両上昇群」)とWBC正常群(「不一致群」)の2群に分類した。
結果
17,727例のうち、1,173例(7.3%)がCRP >15mg/dLであった。全症例のうち、3%(471/15 961)が不一致群(CRP>15、WBC正常)であった。CRPのcutoff値を変えてWBC/CRPの不一致を分析した。CRP >15 mg/dLで40.2%、CRP >25 mg/dLで31.3%、CRP >35mg/dLで29.3%がWBC正常であった。
多変量ロジスティック回帰では、発熱3日以上、消化器症状、悪寒がないことが、不一致群で多かった。最終診断が細菌性感染症であった症例は、不一致群で74.5%、両上昇群では86%であった。不一致群では、細菌性肺炎と尿路感染症が少なく、細菌性腸炎が多かった(図1)。
考察
CRP≧15 mg/dLを示す小児患者の約40%はWBCが正常であり、そのほとんどが細菌感染症であった。来院時に下痢、発熱3日以上、発熱39.5℃未満の小児はWBC正常の可能性が高く、これらの症例ではWBCとCRP検査をルーチンに検討すべきと思われた。