小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

多形滲出性紅斑の再発例は単純ヘルペスウイルス(HSV)が多い

Triggers, clinical manifestations, and management of pediatric erythema multiforme: A systematic review
Zoghaib S, et al. J Am Acad Dermatol. 2019;81(3):813-822.
 
 多形滲出性紅斑(EM)は、小児でも時々見ることがある皮膚粘膜の急性の炎症です。小児のEMの原因、臨床症状、治療に関して、システマティックレビューを行った研究です。
 結果:113本の論文の580症例を対象としました。平均年齢は5.6歳、年齢分布は、0−17歳でした。感染症が最も多いEMの原因で、単純ヘルペスウイルス(HSV)が104例(17.9%)、マイコプラズマが91例(15.7%)でした。140例(24.1%)が薬剤性、19例(3.2%)がワクチンが原因でした。治療に関しては、支持療法のみが180例(31.1%)、ステロイド全身投与が115例(19.8%)、抗ウイルス薬投与が85例(14.6%)、抗菌薬が66例(11.3%)でした。抗菌薬の多くはマクロライド系が使用されました。予後は良好でした、乳児例は19例(3.2%)と少なく、9例がワクチン関連でした。乳児例では、粘膜病変の合併が少なかった。EMが再発した症例は83例(14.3%)で、そのうち36例(61%)は、HSVが原因でした。再発症例は年齢が高い傾向にありました。
 結論:小児のEMは比較的まれな疾患で、多くは感染症が契機となる。治療は支持療法が中心となる。乳児において、ワクチンはEMの原因として重要である。再発例の多くはHSV感染と関連している。
 
以下は、感染症科医にとって役に立つ記載
感染症関連のEMの原因:HSV104例(17.9%)、マイコプラズマ91例(15.7%)、EBウイルス12例、水痘7例、A群レンサ球菌6例、アデノウイルス6例、サイトメガロウイルス5例、肺炎クラミジア5例、その他のウイルス3例。
・薬剤性EMの原因:抗菌薬が75%(ペニシリン39%、セファロスポリン18%、スルホンアミド9%、エリスロマイシン5%、テトラサイクリン2%、その他のマクロライド2%)、抗けいれん薬18%、非ステロイド性抗炎症薬2%、その他5%
・ワクチン関連EMの原因:DPTワクチン7例、B型肝炎ワクチン6例、ヒトパピローマウイルスワクチン・肺炎球菌ワクチン・MMRワクチン・天然痘ワクチン・ポリオワクチン・狂犬病ワクチン各1例
 
再発性EMについて
・83例(14.3%)が再発例
・年長児に多い(再発例の平均年齢は9.1歳、非再発例は5.9歳)
男児に多い
・原因は、HSV36例(61%)、マイコプラズマ7例(11.9%)
・再発例では、粘膜病変を伴う割合が多い
・再発例では、抗ウイルス薬、全身ステロイド投与が選択される割合が多い
 

f:id:PedsID:20200324070743p:plain

 

f:id:PedsID:20200324070756p:plain