「耳下腺炎(おたふく風邪)=ムンプスウイルス」と考えがちですが、実は、ムンプスウイルス以外のウイルスが原因となることもあります。そのため、病院職員で、ムンプス罹患歴があるのにムンプス抗体陰性となる人はたくさんいます。
耳下腺炎の原因として、インフルエンザが結構多いという報告です。
Non-mumps Viral Parotitis During the 2014-2015 Influenza Season in the United States
Clin Infect Dis. 2018;67(4):493-501
【背景】 2014−2015年、米国のインフルエンザ流行期に320例のムンプスウイルス以外の耳下腺炎(NMP)の報告があった。そこで、疫学的・ウイルス学的検索を行った。
【方法】 NPMは、2日以上唾液腺の腫脹があり、検査でムンプスウイルス感染が証明できなかった症例とした。質問紙表で、患者の背景や症状に関する情報を収集した。頬粘膜の検体で、ムンプスウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型を検索した。
【結果】 320症例のうち、男性は65%、年齢の中間値は14.5歳であった。67%が片側性の耳下腺腫脹であった。症状は、咽頭痛を55%、発熱を48%の症例で認めた。210検体でウイルスが検出された。インフルエンザウイルス(H3N2) 156例、HHV6 42例、EBV 32例、パラインフルエンザウイルス type2 8例、パラインフルエンザウイルス type3 2例、アデノウイルス 3例、HSV-1 4例、HSV-2 1例であった。
【結論】 耳下腺炎の患者を診察するときには、ムンプスウイルス以外にも、インフルエンザウイルスおよびヘルペス属ウイルスを原因として考える必要がある。