β-D-グルカンは、侵襲性真菌感染症の検査として、頻用されています。検査方法やカットオフ値により、感度・特異度が変わってきますが、侵襲性真菌感染症では、感度が78−95%、特異度は85.7−98%程度です。
COVID-19パンデミックが子どもの心に与える影響
Adolescent psychiatric disorders during the COVID-19 pandemic and lockdown
Psychiatry Res. 2020; 291:113264.
原因
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起きる問題
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PTSD:女性・低い質の睡眠がリスク
不安障害:家族・知人がCOVID-19患者だとリスク増加
都市部居住・安定した収入・親と同居でリスク軽減
うつ病:女性がリスク
自殺:カナダでCOVID-19による自殺増加が予想される
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ロックダウン
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身体活動量低下、スクリーンタイム増加、睡眠が不規則、
食生活のバランス悪化、不安、抑うつ、退行
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家庭内隔離
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家庭内暴力(フランス、ブラジルで報告)、虐待、ネグレクトの増加
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インターネット
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社会的交流・学習機会が増える(良い点)
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経済的な危機
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COVID-19のデータはないが過去の研究では、
成人の自殺、うつ病、不安、依存症が増加
ギリシャ経済危機の時、家族内で緊張や喧嘩が増加し、生活満足度が低下
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もともと精神疾患あり
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症状悪化とサポート体制の減少
ADHD:問題行動が増加する
自閉症:生活リズムが悪化
神経性食思不振症:健康不安が増加
うつ病:悲嘆が長期化
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成人の類白血病反応(白血球異常高値)を見たら
Leukemoid reaction: spectrum and prognosis of 173 adult patients
Potasman I, et al. Clin Infect Dis. 2013; 57: e177.
カテ先からグラム陰性菌が出てきたら?
2日連続のカテ先培養のネタですみません。
カテ先培養陽性で、subsequent bacteremia (late CRBSI)のリスクが高い菌は、MSSA (12.5%) > MRSA (9.9%) > 真菌(6.2%) > Gram陰性菌(4.3%)でした。
Gram陰性菌の中で、subsequent bacteremiaの頻度(SB率)に違いがあるか検討した論文です。Enterobacterに注意が必要です。
要点
・SB率は、Enterobacter spp.で高い。
・動脈ラインのカテ先陽性は、SB率が高い。
Gram-negative micro-organisms in patients without preceding bacteremia
菌名
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SB率 (subsequent bacteremiaを
発症する割合) (%)
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Enterobacter spp.
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16/51 (31.3%)
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Escherichia coli
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5/24 (20.8%)
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Klebsiella spp.
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8/40 (20.0%)
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Morganella morganii
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2/12 (16.7%)
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Proteus spp.
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2/19 (10.5%)
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Serratia spp.
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1/11 (9.1%)
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Stenotrophomonas
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1/12 (8.3%)
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GNR複数菌
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6/29 (20.6%)
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上記の表をもとに、SB率 (subsequent bacteremiaを起こす確率)を求めてみました。Enterobacterでは高い確率でSBを起こすようです。
カテーテル先端培養が陽性だった場合の菌血症リスク
病棟で急な発熱の患者を見た時、「カテーテル関連血流感染症(CRBSI)かもしれない」と思って、血液培養とカテ先培養を提出することはよくあります。
後日、血培は陰性なんだけど、カテ先だけ陽性という培養結果が判明した場合、対応を悩むことがあります。
黄色ブドウ球菌に関しては、「カテーテル先端が陽性で、末梢血液培養が陰性である症例は5−7日間の抗菌薬投与を施行する」とIDSAのガイドラインで明記されています。
しかし、その他の菌に関しては、ガイドラインで明確な扱いはなく、抗菌薬をどの程度投与すれば良いか、悩ましいところです。
抗菌薬を投与しないことによって起きる最大の問題は、「subsequent bacteremia」で、カテ抜去時には血液培養が陰性ですが、そのうち菌血症が起こってしまうことです。
今回紹介するのは、カテーテル先端培養が陰性であった場合に、どのくらいsubsequent bacteremia (late CRBSI)を起こすかを検討した論文です。ガイドラインでも指摘している通り、黄色ブドウ球菌がカテ先から検出されたら、治療が望ましいと思いますが、真菌やGram陰性菌もそれなりの割合でlate CRBSIを起こすことが分かります。
要点
・カテーテル先端培養が陽性の場合、late CRBSIの発症率は4.1%。
・リスクが高い菌は、MSSA (12.5%) > MRSA (9.9%) > 真菌(6.2%) > Gram陰性菌(4.3%)
・Late CRBSIのタイミングは約90%の症例で抜去から6日以内
The risk of catheter-related bloodstream infection after withdrawal of colonized catheters is low.
微生物
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CRBSIを起こさなかった例
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後期CRBSIを発症した例
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後期CRBSIの発症リスク(%)
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Gram陽性菌
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4112
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87
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2.1
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Staphylococcus epidermidis
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2336
|
47
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2.0
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CoNS
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684
|
0
|
0
|
233
|
23
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9.9
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MSSA
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88
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11
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12.5
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その他Gram陽性菌
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771
|
6
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0.8
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Gram陰性菌
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679
|
29
|
4.3
|
真菌
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469
|
29
|
6.2
|
合計
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5260
|
145
|
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合計
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後期CRBSI
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早期CRBSI
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p値
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死亡者
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70 (24.5%)
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43 (30.1%)
|
27 (18.9%)
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0.030
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