小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

学校再開のみでコロナの流行は拡大しない

 オミクロンの流行が拡大に伴い、学校・幼稚園再開による小児の感染例が増加しています。
 学校再開が、Covid-19の流行拡大の原因になるのではという懸念があります。しかし、イスラエルで学校再開がCovid-19拡大に与えた影響をまとめたものです。2020年3-7月ですので、かなり流行初期のデータなので、オミクロンに適応はできないかもしれません。
 学校再開よりも、成人の規制緩和が社会にCovid-19拡大に寄与する度合いは大きそうです。
 
Reopening Schools and the Dynamics of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Infections in Israel: A Nationwide Study 
Clin Infect Dis . 2021 Dec 16;73(12):2265-2275.
 
背景
学校再開のメリットと、COVID-19の罹患・死亡のリスクおよびCOVID-19の感染拡大を助長する影響と比較検討する必要がある。我々は、2020年3月から7月にイスラエルにおいて、学校再開と社会的距離制限の緩和がSARS-CoV-2感染の動向に与える影響を調査した。
 
方法
 全国の年齢別発症率、有病率、PCR検査数、PCR陽性率、COVID-19による入院・関連死亡率を調査した。これらの変数が、学校再開後、学校終了後、大規模集会の許可などの規制緩和後の時間的な違いを調べた。
 
結果
SARS-CoV-2感染症の発生率は,学校再開後にすべての年齢層で徐々に増加した。小児よりも成人での増加率が有意に高かった。学校再開後21~27日後の陽性率は、学校再開前の陽性率と比較して、40~59歳(RR, 4.72; 95% CI, 3.26-6.83)と20~39歳(RR, 3.37 [2.51-4.53] )の年齢層で高かった。しかし、0~9歳(RR, 1.46 [.85-2.51] )および10~19歳(RR, .93 [.65-1.34] )の小児では増加が見られなかった。学校再開後もCOVID-19関連の入院や死亡の増加は認められなかった。一方、大規模集会の規制緩和後には、すべての年齢層で増加し、検査陽性率が上昇し、入院や死亡も増加した。
 
結論
今回の解析では、イスラエルにおけるCOVID-19の再流行に学校再開が大きな役割を果たしているとは言えなかった。大規模な集会に対する規制を緩和したことが、今回の流行再燃に大きな影響を与えたと考えられる。

 

 

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A: 学校閉鎖、B: 一部学校再開、C: 完全学校再開
1:一部社会活動制限の緩和  2:さらなる社会活動制限の緩和
BとCで、学校が再開されていますが、そのタイミングでは増加せずに、1,2の社会活動の拡大とともに、患者が増加しています。
(日本では、緊急事態宣言1回目は2020年4月7日〜5月25日。学校一斉休校は2020年3月2日〜5月末まで。)