小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

オミクロン株は、デルタ株より重症化しにくい(小児)

 オミクロン株とデルタ株の流行期の、小児COVID-19の重症度を比較した検討です。
成人でも言われているように、小児においても、オミクロン株では重症化しにくい傾向がありました。
 
COVID infection severity in children under 5 years old before and after Omicron emergence in the US 
Wang L, et al. medRxiv. 2022. PMID: 35043116
 
はじめに
 Omicron変異株の出現後、小児のSARS-CoV-2感染と入院は、世界中で増加している。しかし、米国の5歳以下の小児におけるOmicronとDeltaの重症度に関するデータは少ない。
 
目的
 米国でOmicronの流行前後に初めてCOVID-19に感染した5歳未満の患者の重症度を比較する。
 
方法
 本研究は、COVID-19に初めて罹患した5歳未満の小児79,592人の電子カルテ(EHR)データの後向きコホート研究である。Omicron流行した2021/12/26-2022/1/6に感染した7,201人(Omicronコホート)と、Deltaの流行期に当たる2021年9月1日から2021年11月15日の間に感染した63,203人(Deltaコホート)と、Delta流行期であったが米国でオミクロン亜種が検出される直前の2021年11月16日から23日に感染した9,188人(Delta2コホート)との3群に分けて比較した。対象者は、SARS-CoV-2に初感染した患者のみとした。
 傾向スコアマッチング後、SARS-CoV-2感染後3日間の期間に救急外来(ED)受診、入院、集中治療室(ICU)入室、人工呼吸器使用などのCOVID-19感染の重症度を、OmicronとDeltaコホート、およびDelta-2とDeltaコホートの間で比較検討した。リスク比および95%信頼区間(CI)を算出した。
 
結果
 Omicronコホートの小児 7,201 例(平均年齢 1.49 ± 1.42 歳)のうち、47.4%が女性、2.4%がアジア人、26.1%が黒人、13.7%がヒスパニック、 44.0% が白人であった。傾向スコアマッチング前のOmicronコホートは、Deltaコホートより若く(平均年齢1.49歳 vs 1.73歳)、黒人が多く、合併症が少なかった。社会経済的患者背景、合併症、薬物療法に関する傾向スコアマッチングの結果、Omicronコホートの重症化リスクは、Deltaコホートよりも有意に低かった。ED受診: 18.83% vs 26.67%(リスク比[RR]:0.71[0.66-0.75])、入院: 1.04% vs. 3.14% (RR: 0.33 [0.26-0.43])、ICU入室: 0.14% vs. 0.43%(RR:0.32[0.16-0.66])、人工呼吸器管理: 0.33% vs. 1.15%(RR:0.29[0.18-0.46])であった。Delta-2とDeltaコホートを比較したが、差はなかった。
 
結論
 5歳未満の小児において、Omicron流行期に罹患した初回のSARS-CoV-2感染は、Delta流行期に比較し、有意に重症化が少なかったことが示された。