小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児がん患者とCOVID-19

 小児がん患者のCOVID-19の特徴をまとめたシステマティックレビューです。2021年6月の論文で多くの症例が、COVID-19パンデミック初期にあたります。そのため、症状の特徴や、治療内容(ヒドロキシクロロキンが多い)に関しては、現状のオミクロン株と異なる点も多いと思います。しかし、大部分は軽症であるものの、重症化症例もあり、注意が必要であることは、同じかと思います。
 
Clinical presentations and outcomes of children with cancer and COVID-19: A systematic review
Pediatr Blood Cancer . 2021 Jun;68(6):e29005.
 
小児がん患者と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報は限られている。我々は、COVID-19に感染した小児がん患者に関する文献の系統的レビューを実施した。文献検索の最終日は2020年10月20日226人の小児からなる33の研究が最終的な解析に含まれた。データはあらかじめ定義されたデータ収集フォームで抽出され、変数が抽出され、分析された。
血液悪性腫瘍の患者が、より多かった。性別は男性に多く、強化療法中の小児がより多く罹患していた。発熱が、最も多い症状であった。無症状・軽症が48%、重症が9.6%であった。画像所見は、浸潤影、気管支周囲陰影の増強、すりガラス陰影を伴う浸潤影が多く見られた。最もよく使用された薬剤は、ヒドロキシクロロキンであった。約10%の小児が集中治療を必要とし、約32%が酸素吸入を必要とした。COVID-19の死亡率は、4.9%であった。小児悪性腫瘍患者におけるCOVID-19の重症度、死亡率は、一般小児と比較して高かった。この情報は,COVID-19の管理のためのリスク層別化に役立つと考えられる。
 
 
国籍:ペルー69名、イタリア63名、米国29名、スペイン25名、メキシコ17名、等
 
年齢中央値 7歳
性別 男児が63.4%
血液腫瘍 53%、固形腫瘍 47%
寛解 48.9%
治療 強化療法33.3%、HSCT後16.7%、低用量化学療法・維持療法 12.7%、化学療法終了後5.9%
 
症状
割合
発熱
41.8%
咳嗽
12.5%
低酸素血症
10.8%
インフルエンザ様
7%
呼吸困難
5.4%
下気道感染症
6%
上気道感染症
2.7%
鼻汁
1.6%
消化器症状
3.8%
皮疹
1.6%

 

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov