小児がん患者のCOVID-19の特徴をまとめたシステマティックレビューです。2021年6月の論文で多くの症例が、COVID-19パンデミック初期にあたります。そのため、症状の特徴や、治療内容(ヒドロキシクロロキンが多い)に関しては、現状のオミクロン株と異なる点も多いと思います。しかし、大部分は軽症であるものの、重症化症例もあり、注意が必要であることは、同じかと思います。
Clinical presentations and outcomes of children with cancer and COVID-19: A systematic review
Pediatr Blood Cancer . 2021 Jun;68(6):e29005.
小児がん患者と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報は限られている。我々は、COVID-19に感染した小児がん患者に関する文献の系統的レビューを実施した。文献検索の最終日は2020年10月20日、226人の小児からなる33の研究が最終的な解析に含まれた。データはあらかじめ定義されたデータ収集フォームで抽出され、変数が抽出され、分析された。
血液悪性腫瘍の患者が、より多かった。性別は男性に多く、強化療法中の小児がより多く罹患していた。発熱が、最も多い症状であった。無症状・軽症が48%、重症が9.6%であった。画像所見は、浸潤影、気管支周囲陰影の増強、すりガラス陰影を伴う浸潤影が多く見られた。最もよく使用された薬剤は、ヒドロキシクロロキンであった。約10%の小児が集中治療を必要とし、約32%が酸素吸入を必要とした。COVID-19の死亡率は、4.9%であった。小児悪性腫瘍患者におけるCOVID-19の重症度、死亡率は、一般小児と比較して高かった。この情報は,COVID-19の管理のためのリスク層別化に役立つと考えられる。
国籍:ペルー69名、イタリア63名、米国29名、スペイン25名、メキシコ17名、等
年齢中央値 7歳
性別 男児が63.4%
血液腫瘍 53%、固形腫瘍 47%
寛解 48.9%
治療 強化療法33.3%、HSCT後16.7%、低用量化学療法・維持療法 12.7%、化学療法終了後5.9%
症状
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割合
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発熱
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41.8%
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咳嗽
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12.5%
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低酸素血症
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10.8%
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インフルエンザ様
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7%
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呼吸困難
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5.4%
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下気道感染症
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6%
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上気道感染症
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2.7%
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鼻汁
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1.6%
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消化器症状
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3.8%
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皮疹
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1.6%
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