小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

ファイザーワクチン5-11歳での効果と安全性の報告

すでに日本では承認されましたが、ファイザーワクチンを5-11歳の小児に接種した場合の、安全性・効果についての報告です。10μgと少ない量でも十分な反応が得られるようです。
 
Evaluation of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Children 5 to 11 Years of Age 
Walter EB, et al. N Engl J Med. 2022. PMID: 34752019
 
背景
12歳未満の小児において、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に対する安全で効果的なワクチンが緊急に必要とされている。
 
方法
第1相の用量設定試験および第2-3相無作為化試験を実施した。生後6カ月から11歳までの小児を対象に、BNT162b2ワクチン(ファイザーワクチン)を21日間隔で2回接種した際の安全性、免疫原性、有効性を検討した。今回は、5-11歳までの結果を紹介する。第2-3相試験では、参加者は、第1相試験で確認された用量のBNT162b2ワクチンを2回接種する群と、プラセボを投与する群に2:1の割合で無作為に割り付けられた。BNT162b2の2回目の投与から1カ月後の免疫反応は、30μgのBNT162b2を2回投与した16歳から25歳の被験者の免疫反応と比較した。また、2回目の投与から7日以上経過した時点でのCovid-19に対するワクチンの有効性を評価した。
 
結果
第1相試験では,5-11歳の小児48名にBNT162b2ワクチンを10μg,20μg,30μgのいずれかの用量で投与した(各用量16名)。反応原性と免疫原性に基づいて、10μgが選択された。第2-3相試験では、2,268人の小児が無作為にBNT162b2ワクチン(1517人)またはプラセボ(751人)の投与を受けた。データ収集時点での追跡調査期間の中央値は2.3カ月であった。5-11歳までの年齢層では、他の年齢層と同様に、BNT162b2ワクチンの安全性は良好であった。重篤な有害事象は認められなかった。2 回目の接種から 1 カ月後、5-11 歳と 16-25 歳のSARS-CoV-2中和抗体価の平均値の比は 1.04(95%信頼区間[CI]0.93-1.18)であり、事前に規定した免疫原性の基準を満たしていた。BNT162b2ワクチンを接種した3名とプラセボを接種した16名が、2回目の接種から7日以上経過してCOVID-19を発症した。(ワクチンの有効性90.7%;95%CI,67.7~98.3).
 
結論
5-11歳の小児において、BNT162b2(10μg)を21日間隔で2回接種する方法で、安全性、免疫原性、有効性が確認された。
 

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