小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児の造血幹細胞移植後の菌血症の危険因子の検討

Microbiology and Risk Factors for Hospital-Associated Bloodstream Infections Among Pediatric Hematopoietic Stem Cell Transplant Recipients
Open Forum Infect Dis. 2020;7(4):ofaa093.
 
Duke大学からの報告です。小児の造血幹細胞移植後の菌血症の検討です。緑膿菌黄色ブドウ球菌がずいぶん少ない印象です。
 
緒言 造血幹細胞移植(HSCT)移植後の患者は、院内で血流感染症(HA-BSI)を発生する危険性が高い。この研究では、小児のHSCT患者におけるHA-BSIの頻度、原因菌、危険因子を検討した。
方法 本研究は単施設の後方視的コホート研究である。対象は18歳未満の小児で1997−2016年の期間にHSCTを受けた患者である。HA-BSIの頻度、死亡率、原因菌を検討した。多変量解析により、HA-BSIの危険因子を検討した。
方法 1294名が対象と名あった。86%が同種HSCTを受けていた。63%が臍帯血幹細胞であった。261名(20%)の患者に334回のHA-BSIを認めた。グラム陽性菌が46%、グラム陰性菌が24%、真菌が12%、抗酸菌が<1%、複数菌が19%であった。Gram陽性菌では、Enterococcus faaeciumとCoNSが最も多く、35例と32例で、S. aureusは17例のみでした。Gram陰性菌はE. coliが22例で、P. aeruginosaは15例のみでした。研究期間中に、HA-BSIの頻度は低下した。特に真菌によるHA-BSIの頻度が低下した。多変量解析では、HA-BSIの危険因子は、年長児(IRR, 1.03; 95%CI, 1.01-1.06)、臍帯血幹細胞(IRR, 1.69; 95%CI, 1.19-2.40)、骨髄非破壊的前処置(IRR, 1.85; 95%CI, 1.21 
-2.82)であった。死亡率は、真菌が最も高かった(21%)。
結論 過去20年間で、HA-BSIの頻度は低下している。年長児、臍帯血幹細胞、骨髄非破壊的前処置が、独立した危険因子であった。
 
 
予防的抗菌薬・抗真菌薬
・自家骨髄移植とHLAフルマッチ移植では、フルコナゾール内服
・それ以外の骨髄移植では、2003年まではリポ化アムホテリシンB、以降はボリコナゾールを使用。
HSCTご100日以上は抗真菌薬の予防投与を継続する。
・ルーチンで抗菌薬の予防投与は行っていない。

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