CRP/PCT比でマイコプラズマ肺炎を予測する(成人)
プロカルシトニン(PCT)とCRPネタの連投ですいません。
CRP/PCTの比を検討することで、市中肺炎の原因菌の区別ができないかという成人を対象にした研究です。CRPもPCT単独では、原因微生物については何も言えないですが、このような比較をすると興味深いですね。(とは言うものの、市中肺炎でPCTを確認する意義は基本的にないです)
高校数学の数列で、規則性がわからない時には、前後の項の比をとれと、習ったのを思い出しました。
要点
・肺炎球菌肺炎は、CRPもPCTも上昇する
・マイコプラズマ肺炎は、CRPは上昇するが、PCTはあまり上昇しない
・ウイルス性肺炎は、CRPもPCTもあまり上昇しない
→CRP/PCTはマイコプラズマ肺炎で有意に高く、400mg/μgをカットオフにすると結構感度がいい
A high C-reactive protein/procalcitonin ratio predicts Mycoplasma pneumoniae infection
プロカルシトニンとCRPが乖離した時、どうする?
Discrepancies between plasma procalcitonin and C-reactive protein levels are common in acute illness
Corynebacterium菌血症のまとめ
以前に所属していた亀田総合病院の感染症科から、素晴らしい論文が出ました。
Corynebacterium spp.が血液培養から検出された患者の後方視的検討です。Corynebacterium spp.は、真の菌血症で重症化することから、コンタミのこともあります。「血培陽性」となったとき、臨床判断が重要な菌です。しかも、Gram染色の形態から、ある程度想起できるので、血培陽性当日に、治療するかどうか判断が重要です。
しかし、何割くらいが真の菌血症で、患者の背景疾患(血液疾患が多いのですが)について、詳しく書いた論文を知らなかったので、とても勉強になりました。
要点
・C. striatumとC. jeikeiumは、真の菌血症である割合が高い。
・血液腫瘍、固形腫瘍など、悪性腫瘍を有する患者に発症する割合が高い。
・治療する時には、バンコマイシンを使う(通常のFNの治療では外す可能性が高い)。
菌種
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合計
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菌血症
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C. striatum
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67
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47
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20
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C. jeikeium
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14
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10
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4
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その他
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34
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3
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31
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全症例
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C. striatum
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C. jeikeium
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血液腫瘍
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38 (33%)
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24 (36%)
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9 (64%)
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好中球減少
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29 (25%)
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19 (28%)
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8 (57%)
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化学療法
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41 (36%)
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23 (34%)
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10 (71%)
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細菌性髄膜炎と大泉門膨隆はあまり関係がない
小児科医1年目の時、超ベテランの小児科の先生から、「突発性発疹は、大泉門が膨隆するんだよ」と教わり、小児科の臨床って面白いと思った経験があります。
最近、めっきり少なくなった細菌性髄膜炎ですが、大泉門膨隆が重要な所見です。ちゃんと細菌性髄膜炎も考えてますよってことで、カルテに「大泉門膨隆なし」とか書くわけですが、細菌性髄膜炎において、大泉門膨隆の感度・特異度を考えてませんでした。
これからは、ドヤ顔で、「大専門膨隆なし」と書かないようにします。