小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

Corynebacterium菌血症のまとめ

 以前に所属していた亀田総合病院感染症科から、素晴らしい論文が出ました。

Corynebacterium spp.が血液培養から検出された患者の後方視的検討です。Corynebacterium spp.は、真の菌血症で重症化することから、コンタミのこともあります。「血培陽性」となったとき、臨床判断が重要な菌です。しかも、Gram染色の形態から、ある程度想起できるので、血培陽性当日に、治療するかどうか判断が重要です。

 しかし、何割くらいが真の菌血症で、患者の背景疾患(血液疾患が多いのですが)について、詳しく書いた論文を知らなかったので、とても勉強になりました。

 

要点

C. striatumC. jeikeiumは、真の菌血症である割合が高い。

・血液腫瘍、固形腫瘍など、悪性腫瘍を有する患者に発症する割合が高い。

・治療する時には、バンコマイシンを使う(通常のFNの治療では外す可能性が高い)。

 

Clinical Characteristics of Corynebacterium Bacteremia Caused by Different Species, Japan, 2014-2020
Emerg Infect Dis . 2021 Dec;27(12):2981-2987.
 
 Corynebacterium striatum, C. jeikeiumおよび他のCorynebacterium spp.による菌血症患者の臨床的特徴の違いを明らかにするため、2014年1月から2020年5月に、日本でCorynebacterium菌血症を起こした患者のカルテ記載を後方視的にレビューした。
 研究対象に含まれた115例のうち、60件(52%)が真の菌血症、55件(48%)がコンタミネーションであった。C. striatum(70%)およびC. jeikeium(71%)による真の菌血症例の割合は、他の種のCorynebacterium(9%)による菌血症例よりも有意に高率であった。この2菌は、血液腫瘍および好中球減少を有する患者の血液培養からより検出された。90日後の死亡率は34%(C. striatum)、30%(C. jeikeium)、0%(他の菌種)であった。死亡率が高いことから、血液培養でC. striatumまたはC. jeikeiumが検出された場合、特に血液腫瘍を有する患者では、真の菌血症を評価することが必要であると考えられた。
 
菌種
合計
菌血症
C. striatum
67
47
20
C. jeikeium
14
10
4
その他
34
3
31
 
 
全症例
C. striatum
C. jeikeium
血液腫瘍
38 (33%)
24 (36%)
9 (64%)
好中球減少
29 (25%)
19 (28%)
8 (57%)
化学療法
41 (36%)
23 (34%)
10 (71%)

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