プロカルシトニン(PCT)とCRPネタの連投ですいません。
CRP/PCTの比を検討することで、市中肺炎の原因菌の区別ができないかという成人を対象にした研究です。CRPもPCT単独では、原因微生物については何も言えないですが、このような比較をすると興味深いですね。(とは言うものの、市中肺炎でPCTを確認する意義は基本的にないです)
高校数学の数列で、規則性がわからない時には、前後の項の比をとれと、習ったのを思い出しました。
要点
・肺炎球菌肺炎は、CRPもPCTも上昇する
・マイコプラズマ肺炎は、CRPは上昇するが、PCTはあまり上昇しない
・ウイルス性肺炎は、CRPもPCTもあまり上昇しない
→CRP/PCTはマイコプラズマ肺炎で有意に高く、400mg/μgをカットオフにすると結構感度がいい
A high C-reactive protein/procalcitonin ratio predicts Mycoplasma pneumoniae infection
Clin Chem Lab Med . 2019 Sep 25;57(10):1638-1646.
背景
市中肺炎(CAP)の原因菌である肺炎マイコプラズマ(MP)を、肺炎球菌(SP)やウイルスから鑑別することは困難である。しかし、経験的抗菌薬治療が異なるため、これらの鑑別は重要である。我々は、MP感染を予測するための入院時の患者パラメータを調査した。
方法
2013年から2017年の間に3次医療機関にCAPで入院し、原因微生物が特定された全患者を対象に、患者背景、臨床・検査上の特徴、原因病原体についてロジスティック回帰分析およびROC曲線下面積(AUC)を用いて分析した。
結果
CAP患者568例を解析した。MP 47例(8%)、SP 152例(27%)、インフルエンザまたはその他のウイルス 369例(65%)であった。多変量ロジスティック回帰分析により、MPとSPを比較すると、若年(10歳毎オッズ比[OR]0.56、95%CI 0.42-0.73)、好中球/リンパ球比が低い(OR 0.9, 0.82-0.99 )、CRP/PCT比が高い(400mg/μgカットオフでOR 15.04[5.23-43.26] )が、独立したMPとして予測された。ROC曲線のAUCは0.91(>400mg/μgのカットオフ値では0.80)で、CRP/PCT比はMP vs. SPの最も強力な予測因子であった。MPでは、PCT値が有意に低く(p < 0.001)、CRPは両群で高かった(p = 0.057)。MPとウイルス感染症を比較すると、CRP/PCT比が最も優れた予測因子になるという同様の結果が得られた(AUC 0.83; >400mg/μgカットオフのOR 5.55, 2.26-13.64)。
結論
CAP患者において,CRP/PCT比が高ければ,M. pneumoniae感染を予測でき,経験的管理の向上につながる可能性がある。