アシネトバクターは、院内感染の原因となる細菌です。多剤耐性アシネトバクターによる感染症は、治療選択肢が少なく、難渋することがありますが、国内で分離されるアシネトバクターは比較的感受性のよい株が多いです。
要点
Case-control analysis of endemic Acinetobacter baumannii bacteremia in the neonatal intensive care unit
Am J Infect Control . 2014 Jan;42(1):23-7.
背景
方法
2004年−2010年に当院NICUでA. baumannii菌血症を発症した全患者を対象に検討を行った。A. baumannii菌血症の各症例と非感染対照2例および大腸菌菌血症およびクレブシエラ菌血症の全症例をそれぞれ比較し、マッチドケースコントロール研究を実施した。
結果
A. baumannii菌血症は37例であった。多剤耐性A. baumanniiは2例(5.4%)のみであり、全体の死亡率は8.1%であった。マッチさせた非感染の対照群と比較して、A. baumannii菌血症の児は、中心静脈カテーテル(CVC)留置 ( P = 0.009 )、完全静脈栄養(TPN)使用 ( P = 0.021 )、人工呼吸器の長期使用 ( P = 0.002 )、長期入院 ( P = 0.010 )が多かった。大腸菌またはクレブシエラによる菌血症と比較し、A. baumannii菌血症例は、出生時体重が少なく(中央値 1,090g vs. 1,300g, P = .044)、感染時の CVC および TPN 使用率が高かった(いずれも P < .001)。
結論
NICUにおいて、A. baumannii菌血症は、主にTPN使用中およびCVC留置中の低出生体重児に発生した。A. baumanniiは、死亡の原因になることは少なく、多剤耐性A. baumanniiはまれであるが、入院期間の延長に関連した。