虫垂炎(いわゆるアッペ)は、小児科ではよく見る病気ですが、発症年齢の分布が特徴的です。思春期や学童期に多く、年少児にはまれ、新生児では「極めてまれ」な病気です。
その理由は、虫垂の形状が閉塞しにくく、炎症を起こしにくい。ミルクがメインの食事なので、食物残渣が詰まりにくいなど、色々あるようです。
新生児虫垂炎を起こしうる基礎疾患として重要なのは以下です。
・早産児
・鼠径ヘルニア(鼠径ヘルニア嚢内に虫垂がはまり込んだ虫垂炎はAmyand's herniaと呼ぶ)
・ヒルシュスプルング病
・嚢胞線維症
・心疾患
・気管食道瘻
今回紹介する論文は、その超まれな新生児の虫垂炎の3例と、臨床的特徴と治療アルゴリズムの提案です。
Neonatal acute appendicitis: a proposed algorithm for timely diagnosis
J Pediatr Surg. 2011; 46: 2060-4.
概要
【背景】
【方法】
【結果】
3症例はいずれも基礎疾患はなく、満期産であった。敗血症に一致する徴候を呈した。最初の2例は死亡し、剖検で診断がついた。3例目は緊急CT検査、開腹手術を行い盲腸切除を行った。
【考察】
<症例のまとめ>
症例
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1
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2
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3
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日齢
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9日
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13日
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15日
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性別
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女児
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女児
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出生週数
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42週
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40週
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40週
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ショック
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+
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+
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+
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発熱
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ー
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+
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+
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腹部症状
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嘔吐、閉塞
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膨隆、腹膜炎
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疼痛、圧痛、下痢
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穿孔
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ー
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ー
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ー
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死亡
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死亡
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生存
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<文献レビュー>
・1978年以降、44例の新生児虫垂炎が報告されている。
・死亡率:34.1%(15/44例)→free airあり、敗血症なしの症例は予後が良い
・穿孔率:82.5%
・基礎疾患(早産、その他)あり 60%
・臨床症状(図を参照)
腹部膨隆、嘔吐、哺乳不良などが多い→非特異的な症状
<診断アルゴリズム>
新生児においては、壊死性腸炎(NEC)と虫垂炎の鑑別が重要になる。前者は、保存的に抗菌薬で加療することが一般的であるが、後者では早期の外科的治療が必要である。下記を組み合わせてアルゴリズムを提唱している。
2. ドップラーエコー(腹水、腸管壁肥厚、腸管血流の評価を行う)
3. 造影CT
要約すると、
レントゲン 腸管気腫→保存的にNECとして治療
free air→試験開腹・腹腔鏡手術
どちらもない→ドップラーエコー
ドップラーエコー NECの所見がある→保存的加療
NECの所見がない→試験開腹・腹腔鏡手術
すぐにできない→造影CT
造影CT NECの所見がある→保存的加療
NECの所見がない→試験開腹・腹腔鏡手術