小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

小児穿孔性虫垂炎で治療10日間・内服へ変更可能

 小児の虫垂炎は、低年齢ほど穿孔するリスクが高い疾患です。今は、急いで手術をするのではなく、まずは抗菌薬で炎症を沈静化させてから、時間をあけて虫垂切除術を行います (interval appendectomy)。
 どうしても、穿孔していると治療が長くなるので、入院も長くなるのですが、抗菌薬を内服に変更できると、早期退院が可能になります。
 今回、紹介するのは、小児の穿孔性虫垂炎で、最初は点滴抗菌薬→経口抗菌薬に変更したら、予後が悪化するのかという研究のメタアナリシスです。
 
要点
・小児(平均10歳前後)の穿孔性虫垂炎では、静注抗菌薬を経口抗菌薬に変更しても、合併症(術後膿瘍、創部感染)や再入院は増えない。
・本研究に含まれた研究の治療期間は、IVとIV/POとも10-15日間程度。
 
Intravenous versus intravenous/oral antibiotics for perforated appendicitis in pediatric patients: a systematic review and meta-analysis
BMC Pediatr. 2019;19:407
背景
 静脈ルートに関連する合併症を回避し、医療費を削減するために、抗菌薬の静脈内投与(IV)に続いて経口抗菌薬(PO)に変更することが提案されている。しかし、IV/PO療法の有効性と安全性は不明であり、今後の検討が必要である。
 
研究方法
 PubMed、EMBASE、Cochraneを含むデータベースを検索した。IV/PO療法およびPO療法で抗菌薬投与を受けた穿孔性虫垂炎患者の転帰を比較した研究をスクリーニングした。コホート試験と無作為化対照部分の質の評価には、Newcastle-Ottawa Scale(NOS)とJadadスコアを使用した。統計的異質性はI2値を用いて評価した。
 
結果
 合計 580 例の患者を含む 5 件の対照研究が評価された。IV/PO療法は合併症のリスクを増加させず、術後膿瘍のリスク比(RR)は0.97(95%CI 0.51-1.83、P = 0.93)、創部感染のリスク比(RR)は1.04(95%CI 0.25-4.36、P = 0.96)、再入院のリスク比(RR)は0.62(95%CI 0.33-1.16、P = 0.13)であった。
 
結論
 本研究では、術後膿瘍、創部感染、再入院に関して、IV/PO療法は、IV療法に比べて非劣性であることが示された。
 
術後膿瘍の発症率

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創部感染の発症率

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再入院率

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内服薬は、アモキシシリン・クラブラン酸か、ST合剤+メトロニダゾールが選択されています。IVとPOを合計して治療期間は10−14日程度です。

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