小児感染症を勉強する上でのおすすめの本の紹介です。
- レジデントのための感染症診療マニュアル
小児でも成人でも、感染症診療の原則は、変わりないと思っています。患者さんの背景、感染臓器、起炎菌をしっかり捉えることが、感染症診療の原則です。
日本の臨床感染症の金字塔となった教科書です。第4版が出たばかりです。日本の臨床感染症の成書だと思います。もはや「レジデントのための」をやめて「すべての医者のための」にしたほうが良いと思うレベルです。
- 小児感染症の診かた・考え方
倉敷の上山先生が執筆された教科書です。小児の抗菌薬の使い方が丁寧に書いてあるだけでなく、各疾患の病態も、多くの文献が引用されていて、とても深い内容が読みやすいです。
- 小児感染症のトリセツ REMAKE
愛知の伊藤健太先生の本です。ポケットサイズで、各疾患の記載も簡潔で洗練されており、読みやすいです。臨床でモヤッとするマニアックな点を「俺の言い訳」というトピックで書かれているのも、goodです。電子版もあるそうです。(知らなかった!)
- 小児感染免疫学
昨年、出版された、小児感染症に関して最も詳しい日本語の教科書です。日本小児感染症学会から出ています。私も一部分担して執筆しました。臨床をやっている先生が書いているので、今までの使えない臨床現場とはやや乖離のある日本語の教科書より、ずっと良いはずです。分厚い本なので、辞書的に持っておくと良いと思います。
- Feigin and Cherry's Textbook of Pediatric Infectious Diseases
小児感染症の成書といえばこれ。ボリュームたっぷりですが、Cherryに書いてあったといえば、アテンディングも黙るしかありません。(論よりハリソン、論よりチェリーです。)
- Principles and Practice of Pediatric Infectious Disease (PPPID)
Cherryよりは短く、分量は半分くらいですが、小児感染症に関しては、とても信頼できる本です。まあ、普通は小児感染症フェローの間に通読します(!?)。
- Redbook
米国小児科学会の感染症ガイドです。病気や微生物の勉強というより、感染対策や曝露後予防内服などの、知識を得るのに使っています。いろんな意見はあると思いますが、感染対策などは、ゆっくり読んでいる時間がない事が多いので、さっさと必要なところを確認できるよう、日本語版を使用しています。
- Moffet's Board Review for Pediatric Infectious Diseases
米国の小児感染症専門医試験対策の問題集です。実際に解いてみると、自分の弱い分野がよく分かります。
他にも有名な教科書は、Remington(新生児)、Mandell(成人)、Manual of Clinical Microbiology(微生物学)などもありますが、専門に特化しすぎたり、小児感染症とはあまり関連がないので、ここでは名前だけ紹介しておきます。
他にもおすすめの本としては、
・感度と特異度からひもとく感染症診療のDecision Making (細川直登先生)
亀田で感染症診療のイロハを教えていただいた細川先生が書かれた本です。
日本の医療では、臨床検査の知識が十分に浸透しておらず、無駄な検査がたくさん行われ、必要な検査が軽視される事がよくあります。感染症の診療において、どの検査がどの程度有用かを教えてくれる、稀有な本です。