小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

熱性けいれんの再発予防には、積極的に解熱剤を使ったほうが良い

 初期研修医の時(2006年当時)は、熱性けいれんをたくさん見ました。その時、指導医からは「熱性けいれんは、熱が上昇するタイミングで起こしやすい。解熱剤を使うと熱が下がって、その後、上がるから、痙攣を再発しやすい。なので、解熱剤を使わないほうが良い」と教育されていました。当時は、そんなものかと思っていましたが、2年前に、正反対の結果が出て、驚いたのを覚えています。
 今の常識は、「熱性けいれんの再発を避けるために、積極的に解熱剤を使ったほうが良い」です。
 医学の世界では、昨日までの常識が一夜にして非常識になってしまう事があります。日々、勉強だと思います。
 ということで、日本初の重要な研究の紹介です。
 
Acetaminophen and Febrile Seizure Recurrences During the Same Fever Episode
Murata S, et al. Pediatrics. 2018;142:e20181009.
 
目的:
 熱性痙攣(FS)に対してアセトアミノフェンの使用が安全であるかを確認すること、および、同じ発熱エピソードの期間にアセトアミノフェンが痙攣の再発予防に有効かを評価すること。
 
方法:
 単施設前向き非盲検無作為化比較試験である。2015年5月1日から2017年4月30日までの間に当院を受診したFSの小児(年齢範囲:6−60カ月)を対象とした。アセトアミノフェン(10mg/kg)を初回けいれん後24時間まで、発熱がある場合6時間ごとに投与した患者と解熱剤を投与しなかった患者の痙攣再発率を比較して、アセトアミノフェンの有効性を検討した。対照群にはプラセボは投与しなかった。主要転帰指標は、同じ発熱エピソード期間中の痙攣再発である。
 
結果:
 423人の患者を評価した。219人がアセトアミノフェン投与群、204人が解熱剤非投与群であった。単変量解析では、解熱剤なし群(23.5%;P < 0.001)に比べ、アセトアミノフェン群(9.1%)の方が痙攣再発率が有意に低かった。多重ロジスティック回帰分析の変数の中で、痙攣再発予防に最も寄与したのはアセトアミノフェンの使用であった(オッズ比:5.6;95%信頼区間:2.3-13.3)。
 
結論:
 アセトアミノフェンはFSに対する安全な解熱剤であり、痙攣再発を予防する可能性がある。
 

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