「黄疸疑い」という主訴で元気な子がやって来ることがあります。大抵、診断は、柑皮症(かんぴしょう)です。
静岡に住んでいた時に、冬期の1歳半健診にやってくる子どもたちは、ほとんど柑皮症でした。静岡で柑皮症が多い理由は、みかんの食べすぎだと思います、多分。冬になると、道路脇でみかんの無人販売が始まり、道の駅でも大量にみかんが売られます。甘くて美味しいので、子どもたちは大好きです。
群馬は、さほどみかんの消費量が多くないので、柑皮症のお子さんには、他の原因があるのだろうと聞いてみると、野菜ジュースをたくさん飲んでいることが分かりました。野菜ジュースも人参やほうれん草にベータカロチンが含まれているので柑皮症の原因になります。
Carotenemia associated with green bean ingestion
Sale TA, et al. Pediatr Dermatol. 2004; 21: 657.
緑豆をたくさん食べて柑皮症になった報告です。
野菜
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果物
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その他
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アスパラガス
ビート
人参
緑豆
オクラ
えんどう豆
ほうれん草
さつまいも
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アンズ
カンタロープ
マンゴー
パパイヤ
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バター
卵
ミルク
パーム油
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日本人にはあまり馴染みのない食べ物もあります
Evaluation of “Together, We Inspire Smart Eating” (WISE) nutrition intervention for young children: Assessment of fruit and vegetable consumption with parent reports and measurements of skin carotenoids as biomarkers
Whiteside-Mansell L, et al. J Hunger Environ Nutr. 2019;2019:10.
米国では、肥満が大きな健康問題になっており、小児期にきちんと果物や野菜を摂取することが、将来にわたる健康習慣を身につけるのに重要と考えられます。
幼稚園・小学校での食事・栄養に関する指導を行って、食事の内容が変化したか(野菜と果物の摂取量が増えたか)を見た研究です。
質問形式でも、介入後に野菜と果物の摂取量が増えたことが確認され、皮膚の色を計測する機械で、カロチン濃度が上昇したことが分かったそうです。
ということで、地域により柑皮症の頻度は違いますが、黄色い健康そうな子が走り回っている健診は楽しい思い出です。