小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

血腫吸収熱の特徴

Hu, et al. Medicine. 2016;95:37(e4 754)
Absorption fever characteristics due to percutaneous renal biopsy-related hematoma.
 
2639例の経皮的腎生検後の血腫吸収熱について、後方視的にまとめた観察研究です。
118例で生検後に血腫ができ、うち48例で血腫吸収熱が認められました。肺炎や血腫の二次感染などの感染症(合計9例)は除外しています。(そもそも経皮的腎生検では術後感染症のリスクは相当低いと考えられる)
血腫吸収熱は40.7%の症例に認められたことになります。
発症時期は、術後4.51±1.63 (1-7)日
発熱期間は、4.09±2.47 (1-10)日
最高体温は、38.26±0.39 (37.5-39.0)℃
 
3cm以上の大きい血腫では69.2%の症例で血腫吸収熱が見られた。
 
当院の心臓血管外科術後の症例で、術後1週間程度で、発熱やCRP上昇を認め、精査しても感染巣は見つからず、自然に解熱するケースをよく経験します。血腫吸収熱かと思っていたのですが、血腫吸収熱の典型的な臨床像を記述した論文を今まで見つけられなかったので、経皮的腎生検ではありますが、参考になります。
術後5−7日前後で、38℃台くらいの発熱があり、随伴症状も無い場合には、血腫吸収熱を疑って良いかもしれません。もちろん感染巣の精査や適切な培養を提出しますが、無駄な抗菌薬の使用を減らす根拠になりそうです。
 

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