乳児の発熱(特に乳児期早期発熱)では、血液培養の採取がよく行われますが、培養開始から何時間まで見たら、安心して「血培陰性です」と言えるでしょうか?
小児病院で勤務していると、遅れて発育してくるカンジダとか、最初コンタミと思っていたCNSが別のセットでも発育して、カテーテル関連血流感染症が判明するとか、いわば例外的な事象が印象に残りますので、特に具合の悪い子の血液培養ほど、ドキドキします。
この研究は、市中発症の発熱の乳児で、非重症例・手術歴無しの場合の、血培発育までの時間を見たものです。24時間までで91%、48時間までで99%の血液培養が陽性になるので、とりあえず48時間見たら良いですよ、ということです。
Blood culture time to positivity in febrile infants with bacteremia
JAMA Pediatr. 2014 Sep;168(9):844-9
はじめに
乳児の発熱に対して血液培養が実施されることが多く、通常、血液培養が陽性にならないことを確認されるまで経過観察される。しかし、発熱を認める乳児において、血液培養が陽性になるまでの時間は知られていない。
目的
一般病棟に入院した発熱児において、血液培養結果が陽性となるまでの時間を明らかにすること。
方法
血液培養結果が陽性になるまでの時間を多施設で後方視的に評価した。データはPediatric Research in Inpatient Settings Networkに参加している地域病院および大学病院で収集された。対象は,生後 90 日以下の菌血症の発熱児で、集中治療室以外に入院し、手術歴がない者とした。主要アウトカムは、血液培養が陽性になるまでの時間と、培養開始から24時間以上経過して陽性が判明した割合とした。
結果
米国内の17病院から合計392件の血液培養から検出された病原菌を対象とした。陽性になるまでの平均(±SD)時間は15.41(±8.30)時間であった。24時間後までに91%(95%CI、88~93)が陽性となった。36時間後と48時間後には、それぞれ96%(95%CI、95-98)と99%(95%CI、97-100)が陽性となった。
結論
一般入院病棟に入院した生後90日以下の乳児において、血液培養から検出される病原体のほとんどは、採取後24時間以内に陽性になった。これらのデータから、発熱した乳児を24時間以上入院して経過観察することは、ほとんど不要であることを示唆している。
菌株によっても、発育までの時間は結構異なります。