小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

EBウイルスが起こす皮膚症状(後半)

多形滲出性紅斑 
 多形滲出性紅斑(EM)は、急性発症の自然治癒する皮疹で、典型的には、ターゲット状の皮疹を呈し、粘膜病変を伴うことがある。ウイルス感染後の過敏反応と考えられている。半分程度の症例では、原因薬剤や原因微生物が不明である。IMや慢性EBV感染症が、EMと関連することが報告されている。
 
 CAEBVは、3ヶ月以上にわたり、発熱・肝脾腫・リンパ節腫脹・血尿・関節炎・貧血などを慢性に繰り返す疾患である。5−11歳の小児を中心に見られる。皮膚生検では、IgA沈着のない白血球破砕性血管炎を認める。EBV感染細胞が、オリゴクローナルにT細胞やNK細胞の増殖を刺激し、サイトカイン血症を引き起こすことが病態と考えられる。CAEBVは死亡率が高く、肝不全、DIC、肺炎を伴う症例では、予後が悪い。
 
血球貪食性リンパ組織球症(HLH)
 HLHは、稀であるが、急速に進展する、重篤な疾患である。組織球の増殖と、T細胞の活性化によるコントロールできない血球貪食が病態である。二次性HLHの原因は通常はEBVである。HLHは全年齢層に見られるが、小児期に多い。皮膚所見は、非特異的であり、一過性の全身性の斑状丘疹を65%の症例で認める。紅皮症、痒疹、丘疹も白血球破砕性血管炎の症状として認める。傷害される臓器は、脾臓、リンパ節、骨髄、中枢神経である。皮膚所見は、非特異的であり、生検しても診断的意義はない。
 
種痘様水疱症 Hydroa vacciniforme:HV
 HVは、非常にまれな疾患で、小児期に発症する。日光暴露により水疱を形成する光線過敏であり、臍のある水疱が認められるのが特徴である。皮膚は、痂皮化して、皮膚の色素脱失を残す。EBV感染との関連が報告されている。末梢血のEBV-DNAが増加している。重症のHVでは、CAEBVを発症するリスクがある。
 
Drug-induced hypersensitivity syndrome (DIHS)
 HHV-6, 7以外にもサイトメガロウイルス、EBVがDIHSで再活性化することがある。

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