小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

インフルエンザの予防は「まず手洗い・マスク」ではない

Effectiveness of personal protective measures in reducing pandemic influenza transmission: A systematic review and meta-analysis
Epidemics. 2017;20:1
 
 手洗いとマスク着用はインフルエンザの予防として有効か?
2009年のパンデミックインフルエンザの流行時に発表されたデータのメタアナリシスです。日常的な手洗いは、インフルエンザの予防に有効 (OR=0.62; 95% CI 0.52-0.73)であったが、マスク着用は有意な予防効果はなかった(OR=0.53; 95% CI 0.161.71)。
 
昨シーズンのインフルエンザワクチンの有効性は、47%でした。
シーズン中、ずっと手洗いをこまめにしても、ワクチン1回接種より効果が劣るんですね。マスクにいたっては、有意差なしです。サージカルマスでこの結果ですから、一般に売られている布マスクはもっと効果が低い可能性があります。
メディアで、「インフルエンザには、手洗いとマスク」と言っていますが、
「インフルエンザには、まずワクチン。そのうえで、手洗いとマスクでしょう。」
 

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手洗いの効果
 
 
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マクスの効果
 

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ワクチンの効果 (2018/2019シーズン CDCのHPより)