小児感染症科医のお勉強ノート

小児感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

静岡県民の夢敗れる…

昔、静岡に住んでいる時に、掛川の学校では、蛇口からお茶が出るとニュースでやっていました。確か、校長先生が、インフルエンザの予防もバッチリとか言っていた気がしましたが…。(元)静岡県民待望の、研究結果ですが、残念な結果になりました。
 
 緑茶でうがいをやっても水でうがいをやっても、インフルエンザ予防効果は変わらない
 
Effects of green tea gargling on the prevention of influenza infection in high school students: a randomized controlled study.
PLoS One. 2014;9(5):e96373
 
 お茶に含まれるカテキンは、抗インフルエンザ作用があると実験では示されている。しかし、実際にお茶でうがいをすることにより、インフルエンザが予防できるかは知られていない。
 ランダム化オープンラベル研究で、757人の高校生(静岡県)を対象とした。年齢は15−17歳。インフルエンザ流行期の90日間に研究を行った。1日3回緑茶でうがいを行う群と水道水でうがいを行う群に振り分けた。Primary outcomeは、診断が確定したインフルエンザ患者数とした。384名が緑茶群、363名が水道水群に振り分けられた。
 多変量解析を行うと、インフルエンザの罹患率は、緑茶群で4.9%、水道水群で6.9%であり、有意差はなかった (adjusted OR, 0.69; 95%CI, 0.37-1.28; p=0.24)。この研究の主な制限は、うがい回数の遵守率が低かったことである(70%くらい)。
 結論は、お茶でうがいをしても、インフルエンザの予防効果は水道水と変わらない。
 
 考察で、
「このような結果になった原因の一つとして、両群の70%以上の生徒が、もともと日常的に1日200ml以上のお茶を飲んでいた。以前の我々の検討では、1日600−1000ml以上の緑茶を飲んでいる小学生のインフルエンザ罹患率は低く(OR 0.62)、このように日常的にお茶を飲んでいる生徒が多い背景が我々の結果に影響を与えたのかもしれない。(両群でお茶を日常的に飲んでいるために、追加で3回お茶うがいをしたところで、上乗せ効果は少ない)」
 
 個人的には、お茶でうがいしても、害が無いので、地域の宣伝を兼ねて緑茶でうがいしてもいいと思うのですが…
 

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