小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

成人の腸内細菌科細菌の菌血症をde-escalationしても臨床的なアウトカムは悪化しない

Impact of De-escalation on Prognosis of Patients With Bacteremia due to Enterobacteriaceae: A Post Hoc Analysis From a Multicenter Prospective Cohort
 
Palacios-Baena ZR, et al. Clin Infect Dis. 2018;69:956
 
 De-escalationは、抗菌薬適正使用の観点で、非常に重要であるが、今まで、de-escalationを菌血症で行うことに対して、安全性や効果の十分な根拠がなかった。
 
 この研究では、腸内細菌科細菌の菌血症において、de-escalationに関連する要因を評価し、de-escalationが患者の予後に影響するかを検討した。
 516名の腸内細菌科細菌菌血症の患者が検討された。早期de-escalation (EDE)されたのは、241名(46%)、晩期de-escalation (LDE)されたのは95名(18%)、de-escalationされなかったのは180名(35%)であった。
(血液培養を採取した日をday0として、早期de-escalationは4日以内、晩期de-escalationは5-7日、de-escalationは7日以降も同じ抗菌薬を使用した患者と定義)
 EDEされにくい要因のとしては、多剤耐性菌の菌血症(OR, 0.50 [95% CI, .30-.83])、初期治療にメロペネムまたはイミペネムを使用した院内発症の菌血症(OR, 0.35 [95% CI, .14-.87])であった。EDEは患者の死亡率上昇と関連しなかった。LDEも患者予後と関連しなかった。de-escalationにより、治療失敗が増加したり、入院期間が延長することはなかった。
 結論:腸内細菌科細菌の単一菌の菌血症において、de-escalationは臨床的なアウトカムに悪い影響は及ぼさない。