小児感染症科医のお勉強ノート

群馬県立小児医療センターで感染症を専門に診療しています。論文や病気のまとめを紹介します。

母乳の加熱処理(62℃5秒間)は、極低出生体重児のCMV感染を減少させる

Short-term Pasteurization of Breast Milk to Prevent Postnatal Cytomegalovirus Transmission in Very Preterm Infants

Bapistella S, et al. Clin Infect Dis. 2018 doi: 10.1093/cid/ciy945. 

 

 ドイツ国内のNICUで実施された試験です。

母乳を62℃で5秒間加熱処理して、極低出生体重児へのサイトメガロウイルス(CMV)感染が減るかを検討しました。

前方視的介入コホート試験。

対象は、母体CMV-IgG陽性の母親から出生した、出生体重1500g未満か在胎32週未満の児。

介入群は、生後4日目から、投与される母乳を62℃5秒間の加熱処理を行う。

コントロールは、この介入を実施する前の、患者背景が同じ児。

Primary endopointは、退院時のCMV感染の有無とした。

 

介入群87例中2例(2.3%)が感染し、コントロール群は83例中17例(20.5%)がCMV感染した。

前者では、0.21/年、後者は1.70/年の感染頻度となり、有意に介入群でCMV感染感染が減少している(RR 8.3 [95% CI, 2.4-52.4])。

 ただし、問題点としては時間がかかる、正確な処理が必要、加熱処理を行うスタッフの教育が必要など、手間がかかる。

 

結論

 短時間の母乳の加熱滅菌は、NICU内での極低出生体重児のCMV感染を減少させる。

 

補足

 冷凍母乳でCMV感染が減るのではないかという研究もあるが、冷凍しない場合で約20%、冷凍母乳で13%であり、あまり減らない。

f:id:PedsID:20190730221204p:plain



https://academic.oup.com/cid/article-abstract/69/3/438/5164349?redirectedFrom=fulltext