Leukemoid reaction: spectrum and prognosis of 173 adult patients
Potasman I, et al. Clin Infect Dis. 2013; 57: e177.
2日連続のカテ先培養のネタですみません。
カテ先培養陽性で、subsequent bacteremia (late CRBSI)のリスクが高い菌は、MSSA (12.5%) > MRSA (9.9%) > 真菌(6.2%) > Gram陰性菌(4.3%)でした。
Gram陰性菌の中で、subsequent bacteremiaの頻度(SB率)に違いがあるか検討した論文です。Enterobacterに注意が必要です。
要点
・SB率は、Enterobacter spp.で高い。
・動脈ラインのカテ先陽性は、SB率が高い。
菌名
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SB率 (subsequent bacteremiaを
発症する割合) (%)
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Enterobacter spp.
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16/51 (31.3%)
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Escherichia coli
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5/24 (20.8%)
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Klebsiella spp.
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8/40 (20.0%)
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Morganella morganii
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2/12 (16.7%)
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Proteus spp.
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2/19 (10.5%)
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Serratia spp.
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1/11 (9.1%)
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Stenotrophomonas
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1/12 (8.3%)
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GNR複数菌
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6/29 (20.6%)
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上記の表をもとに、SB率 (subsequent bacteremiaを起こす確率)を求めてみました。Enterobacterでは高い確率でSBを起こすようです。
病棟で急な発熱の患者を見た時、「カテーテル関連血流感染症(CRBSI)かもしれない」と思って、血液培養とカテ先培養を提出することはよくあります。
後日、血培は陰性なんだけど、カテ先だけ陽性という培養結果が判明した場合、対応を悩むことがあります。
黄色ブドウ球菌に関しては、「カテーテル先端が陽性で、末梢血液培養が陰性である症例は5−7日間の抗菌薬投与を施行する」とIDSAのガイドラインで明記されています。
しかし、その他の菌に関しては、ガイドラインで明確な扱いはなく、抗菌薬をどの程度投与すれば良いか、悩ましいところです。
抗菌薬を投与しないことによって起きる最大の問題は、「subsequent bacteremia」で、カテ抜去時には血液培養が陰性ですが、そのうち菌血症が起こってしまうことです。
今回紹介するのは、カテーテル先端培養が陰性であった場合に、どのくらいsubsequent bacteremia (late CRBSI)を起こすかを検討した論文です。ガイドラインでも指摘している通り、黄色ブドウ球菌がカテ先から検出されたら、治療が望ましいと思いますが、真菌やGram陰性菌もそれなりの割合でlate CRBSIを起こすことが分かります。
要点
・カテーテル先端培養が陽性の場合、late CRBSIの発症率は4.1%。
・リスクが高い菌は、MSSA (12.5%) > MRSA (9.9%) > 真菌(6.2%) > Gram陰性菌(4.3%)
・Late CRBSIのタイミングは約90%の症例で抜去から6日以内
微生物
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CRBSIを起こさなかった例
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後期CRBSIを発症した例
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後期CRBSIの発症リスク(%)
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Gram陽性菌
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4112
|
87
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2.1
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Staphylococcus epidermidis
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2336
|
47
|
2.0
|
CoNS
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684
|
0
|
0
|
233
|
23
|
9.9
|
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MSSA
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88
|
11
|
12.5
|
その他Gram陽性菌
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771
|
6
|
0.8
|
Gram陰性菌
|
679
|
29
|
4.3
|
真菌
|
469
|
29
|
6.2
|
合計
|
5260
|
145
|
|
合計
|
後期CRBSI
|
早期CRBSI
|
p値
|
死亡者
|
70 (24.5%)
|
43 (30.1%)
|
27 (18.9%)
|
0.030
|
場所
|
ニューヨーク |
日本
|
|
1日あたり
新規患者数
|
1200人/100万人
(1万人/840万人)
|
10-100/100万人
(500-5000/4600万人)
|
33/100万人
(約4000人/12000万人)
|
無症状妊婦の
PCR陽性率
|
13.5%
|
0.5%
|
不明
|
抗菌薬
|
合併症あり
|
Odds比
(95% CI)
|
p値
|
CTX/MTZ
|
37/252例 (14.7%)
|
[Ref]
|
|
抗緑膿菌薬
|
18/101例
(17.8%)
|
1.26
(0.7-2.3)
|
0.46
|