先程の論文が出て、その後、メタアナリシスが実施されました。
5つの論文が解析対象になりました。どの論文も単独では、ステロイドは腎瘢痕形成を有意に抑制はしないという結論でしたが、不思議なことに、メタアナリシスでは、「ステロイドは有意に腎瘢痕形成を抑制する」という事になりました。
The efficacy and safety of corticosteroids in pediatric kidney scar prevention after urinary tract infection: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials.
Pediatr Nephrol. 2023 Dec;38(12):3937-3945.
背景
小児期の急性腎盂腎炎(APN)は腎臓の瘢痕化につながる可能性があり、永久的な腎障害の主な原因の一つである。発熱性尿路感染症(UTI)に感染した後の腎瘢痕形成の発生率は2.8~15%と報告されており、UTIを3回以上繰り返すとその割合は28.6%に上昇する。副腎皮質ステロイドは、腎臓の瘢痕形成予防と尿中サイトカインレベルの低下に関与している可能性がある。小児APN患者における腎瘢痕形成の抑制における副腎皮質ステロイド投与の有用性が、ランダム化比較試験(RCT)で検討されているため、メタアナリシスを行った。
目的
データソース
主要なデータベース(PubMed/MEDLINEおよびScopus)を用いて、APN患児における腎瘢痕形成の予防における副腎皮質ステロイドの補助投与の有効性および安全性を調査したRCTについて、2022年10月12日までの文献検索を行った。リスク比と95%信頼区間を二項対立転帰に用いた。
結果
小児APN患者918例を対象とした5件のRCTが本試験に組み入れられた。副腎皮質ステロイドは、菌血症、入院期間の延長、尿路感染症の再発などの有害事象のリスクを増加させることなく、腎瘢痕化を統計学的に有意に減少させた(95%CI 0.42-0.95、p = 0.03)。
限界
サンプルサイズ(n = 498)、使用したステロイド製剤の違い(メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾン)、ステロイド製剤の投与経路(静脈内投与または経口投与)、投与日数の違い(3日間または4日間)に関して、一致しなかった。
結論
ステロイド投与は、小児APNにおける腎瘢痕の軽減に有益な効果をもたらすようである。